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これは、北米や欧州の空港に見られるような「ハブ(主要港湾)&スポーク(周辺港湾)」のパターンが北西欧州の港湾にもあることを示している。

3. 港湾はますます、主要な機能である積み換え・輸送・物流と、二次的な機能である(工業)生産の間での特定のバランスによって特徴づけられるようになっている。かつてと異なり、二次的機能はもはや港湾に拘束力をもたない。現代の輸送・物流システムによるアクセス向上のおかげで、生産はしばしば海から遠く離れた後背地に移転する。しかし、積み換え、物流機能と「付加価値」活動、さらには(工業)活動とのコンビネーション維持に成功している港は、主要機能・二次的機能のバランスが取れていない港と比べて好調である。例えば、ロッテルダムは港湾地区に最大の石油精製コンビナートを維持はしているが、積み換えと付加価値活動のコンビネーションに関してはアントワープがロッテルダムより好調である。

 

以下の表は、1.と2.の特徴をよく表しています。

 

表-1. ハンブルク―ルアーブル圏の総取扱量に占める各港のシェア、1980年と1995年

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*北海運河地区を含む

出典:ロッテルダム市港湾局(Kreukels、Wever、1998年、p.5)

 

今日、港の位置づけは、第一に海外との貨物の流れ、次に積み換えと(欧州)後背地向けまたは後背地からの輸送によって決まります。港での接続網は、連合を組んだ主要船舶会社、そして主要港(ロッテルダム、アントワープ、ハンブルク)間の激しい競争を反映しています。ここでは、最大の港(ロッテルダム)のみが増加するのでなく、主要港間で徐々に平準化していることがわかります。主要港間の平準化のほか、中小の、さらには新しい港の台頭もみられ、これは主要船舶会社が、主要港への過度の依存を避けるため、システムにとり入れたものです。このようにしてフィリクストウは重要な中小港になりました。南欧の港であるアルヘシラス(スペイン)、ジオイアタウロ(イタリア)や新しい港も、海運会社によって、貨物の積み換え港として活性化されました。これらの貨物は最近まで、主にロッテルダム、アントワープ、ハンブルクに運ばれ、それらの港から南欧に運ばれていたものです。船舶会社が採用したもう一つの戦略は「ビルト―イン・フィーディング」で、これは、東アジアまたは北米・南米から来た大陸間航路の1隻のコンテナ船が、例えばアントワープ、ロッテルダム、ハンブルクの順に(給水/食の為)寄港するものです(注:西岸沿いの短距離海上輸送によるフィーデングは、(西)欧州ではトラック、はしけ、陸上の鉄道輸送と比べれば取るに足らない輸送形態です。)

 

 

 

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