最後でありますが、ブラウニング先生の最後に出た、次世代のコンテナターミナルヘのご提案、あるいは取り組みでございますが、もちろん、日本でもいろいろな取り組みがなされておりますし、これからももっと力が入っていくのだと思いますが、そういったハード面の話に加えて、今、世界の主要な港湾が取り組んでいる、もう1つの新しい次世代のコンテナターミナルのコンセプトは、何よりもターミナルのみではなくて、むしろロジスティックスのセンターとして、海の港(シーポート)をもう1回再生していく。これは今世紀、コンテナが登場してから、それへの対応に追われてきた港湾界が、むしろ21世紀に、世界の物流体系を、港湾を核にして、もう1度再興していくためのコンセプトづくりが、必要になってきているのではないかと思いました。以上でございます。(拍手)
司会 どうもありがとうございました。(拍手)
それでは、もう1方の、横浜港埠頭公社の副理事長であられます、塩澤様からコメントをいただきたいと思います。
塩澤氏 横浜港埠頭公社の塩澤でございます。
埠頭公社に勤務している立場から、多少感想を述べさせていただきたいと思います。
外貿コンテナ輸送は、元来、厳しい競争にさらされる宿命にあります。先ず船社については、再編成や淘汰を伴いつつ熾烈な競争が長年に亘りグローバルに展開されてきました。港湾間に関しても、我が国では国内の港湾間競争はコンテナ航路開設当初から、また1970年代末頃からは、アジア主要港との国際港湾間競争が顕著になってきました。そしてこれからはいよいよ、港の中での競争が始まるのではないか。すなわち、規制緩和やターミナル運営のグローバルなネットワーク化などの流れの中で、我が国においてもひとつはターミナル・オペレーションの分野において、更にはターミナルの整備・管理・運営の分野においてすら、港湾間はもちろん同一港湾内においても、競争が繰り広げられる時代が迫りつつあることを、近年の諸情勢や本日のお話を聞くにつれ強く感じる次第です。具体的には、これまでは競争が殆ど排除されてきた縦割り式のターミナル・オペレイションの世界に、より効率的でトータルな物流を目指す海外を含めた新規の事業者の参入が現実化するかも知れない。そして更には諸々の環境変化や海外からのターミナル・ディベロッパーの進出などにより、現状のターミナル管理運営体制が大きな変革を迫られる可能性も少なくないと思います。
近年の諸環境の変化を背景に、私共公社としても我が国のコンテナターミナルの管理・運営体制の改革の必要性を強く認識しつつあります。これまで、我が国主要港のコンテナターミナルの整備及び管理運営体制は、公共方式と公社方式を基本にしてきましたが、最近、新方式という従来の二方式を足して2で割ったような方式が導入されました。この方式自体、公社の経営や国際競争力強化の面で非常に有効な手段で、大変有難く思っております。しかし、これは一方で、従来の公社制度が限界に来たということをも意味しています。