ですから、自由市場では決定的なことですが、現時点でロッテルダム、アントワープ、ハンブルグなど、また、ほかの港湾はすべて、後背地も含めて、国の港湾局によって管理されています。ですから、ほかでは、例えば電力輸送、通信などでも、民営化競争が促進されつつありますが、しかし、そういった事態が、港湾ではまだ起きてきていません。
これで私の今日のプレゼンテーションを終わらせていただきます。時間を超過いたしまして、どうも申しわけありませんでした。(拍手)
司会 どうもありがとうございました。
それでは、ここで、先生に対して、一つ、二つ質問をお受けしたいと思いますので、どなたかございませんでしょうか。
どうぞ。
質問 クローケル先生にお尋ねしたいのですが、港のオペレーションで、1つは、船会社が、自分のターミナルを持つようになるという動きがあって、片や、その動きに相反する大きな船会社の同盟とかなんとかのいろいろな動きがあるはずで、逆にモチはモチ屋で、港のオペレーション専門の会社に任せたほうがいい、という動きをしているところもあるようですが、ヨーロッパでは一体どちらの動きでしょうか。
クローケル 時間がありませんので、手短なお答えになるかと思いますが、ロッテルダムでは、マースク社が非常に大きな影響を持っておりまして、現在、ロッテルダムの港湾局との交渉に入っております。それで、ECTという問題もありますが、マースクは非常に強力な力を持っておりますので、専用のターミナルを持つという立場に至るのではないかと思います。この交渉自体はまだ終わっておりません。けれども、私の予測では、恐らくマースクは、そのポジションを得るのではないかと思います。
ロッテルダムの例でしたが、そのほかに、ヨーロッパのほかの港ですが、フェリクストーですが、その港湾の一部はすべて民営化されております。ですから、この港のポジションについて、お話ししなければいけないと思います。
私の意見では、ランドロードポート、地主型港湾について、もう少し考えを進めなければいけないかと思います。土地だけをリースするのか、あるいは上物、あるいはほかの施設なのか、どの辺まで民営化を進めるのかを、お話し合いしたほうがいいと思います。
司会 ほかに、どなたかございますでしょうか。どうぞ。
質問 お話の内容から多少飛躍するかも知れませんが、欧州の港湾における、港運業者間の競争の状況についてお聞きしたいと思います。日本では規制等により、現状では港運業者間の競争は殆どない状況にあります。しかし、来年2000年には、法律が改正され、法的には自由競争ができる環境が整えられることになります。ヨーロッパでは、我が国に比べると、より競争性が保たれている印象がありますが、大手資本によるターミナル運営の国際展開を含め、港運業間の競争の現状、近年の動向についてお聞かせ願えればと思います。