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2つ目の結論を申し上げます。そして、日本と比べまして、ヨーロッパの差別化を示させていただきます。この差別化、あるいは今起こりつつある変化ですが、その変化が3つのタイプで現れてきております。港湾当局は、いまだにまだ港を管理下に置きつつも、そのシステムの内部で、商業的な活動が起きてきているというのが、最初のタイプです。

この例といたしまして、ロッテルダムとアントワープがあります。この2つの港は、いまだに港湾局の支配下にありますが、より自由度を高めており、これは商業セクター、あるいは投資の面でも自由度を高めています。

2つ目の興味深いタイプですが、これはフェリクストーという港ですが、港湾全体が民営化された例です。この港を運営しておりますのが、ハチンソンという会社でして、港の所有者でもあります。ですから、民間の企業が港湾の運営をしている例です。

3番目の例ですが、まだ公共の部分でありつつも、それに加えまして、ほかの新しい民間の会社が事業に参加するものです。そして、それが一つのユニットではなく、運営されているということです。この例といたしまして、ゲノアという港がありますが、これはフィアットが運営しております。ですから、フィアットが、事業を分離・独立させる形で、この運営に携わっているわけです。

私のレクチャーの時間が迫ってきたようですので、3番目に関しましては、また後でお話し合いしたいと考えております。このレクチャーの後でも、お話し合いの機会があるということですので、3番目のトピックに関しましては、後ほどお話し合いいたします。

最後に、私のこのプレゼンテーションの締めくくりといたしまして、EU(欧州連合)についてお話しいたします。その組織と港湾、また港湾局との関係についてお話しいたしまして、私のお話を終わらせていただきます。

日本からヨーロッパをご覧になりますと、非常に重要な事実をご認識なさるかと思います。幾つかの国がありますが、ヨーロッパ全体によって統合されている港はありません。

そして、なぜこの点が重要かと申しますと、EUは自由市場を抱えております。その域内の自由市場を持っておりまして、自由市場の原則を持って、港湾やシステムに影響を与えるはずですが、しかし、港湾の運営に関しましては、そのような結果に至っておりません。と申しますのも、港湾の協会、ESPOという協会がありますが、ここが非常に強力なロビー活動を行い、EUが、港湾に影響を与えるのを阻止しているのです。ですから、EU自体が、その港湾の主要な運営者とはなっていないという状況です。空港でも、やはり同じような状況です。

最後の感想になりますが、ヨーロッパの状況を見ていただきますと、例えば日本からの視点で申しますと、いろいろな組織を組み合わせることによって、効率を上げることができるとお考えになるかと思いますが、ヨーロッパの状況を見ますと、そのような状況は起きていないのです。港湾のシステムといたしまして、EUが一括管理しているところはありません。各港は、すべて各国によって運営されています。

 

 

 

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