2つ目の結論ですが、港湾間の競争です。2つの現象があります。まず最初に、ある港が、ほかの港のシェアを取ろうということがあります。例といたしまして、ロッテルダムが、やはりオランダにあるツイストという港のシェアを取ろうとしております。これは差別化の一つであります。そのほかに、港同士の協力関係と申しますか、組み合わせがありまして、サテライト(衛星)の港湾を使う手法もあります。
2つ目の結論ですが、ヨーロッピアン・コンフェレンスというものがありますが、減少が発生しつつあります。ロッテルダム、ハンブルグ、アントワープなどが、陸上のターミナルと競争して、そのシェアを奪取しようということがあります。例えばドイツの港ですとか、そういった港もあります。全く同じようなことが、ハンブルグでも起きてきております。ですから、陸上ターミナルとの競争が発生しつつあります。
日本では、陸上のターミナルは、それほど目立った動きはしておりません。しかし、ヨーロッパでは、大変重要な役割を果しております。と申しますのも、この陸上のターミナルのほかに、ヨーロッパでは水路がありまして、その水路が鉄道、また、トラックと接続しているわけです。ですから、そういった意味で重要な役割を果しているわけですが、ただ、日本とは状況が違うと思います。
これで第1部を終わらせていただきまして、第2部に移らせていただきます。
第2部ですが、港湾局が、この組織に関しまして、市場のダイナミズム、激変する状況と競争に関しまして、どのように対応しているか。そのことについてお話しいたします。
以下のように、状況を要約いたします。先ほど戸嶋理事長が、日本の民営化の中で、上物と下物とを分けるという動きがあるとおっしゃいました。まず最初のカテゴリーといたしまして、公共部門について、港湾局についてお話しいたします。2番目に、民間部門につきましてお話ししたいと思います。
現在のヨーロッパの状況を見ますと、差別化が起こってきていることがおわかりいただけます。お気づきかと思いますが、港湾局の制度で、ヨーロッパで一般的に行われている一つのカテゴリーに、フランス、または南ヨーロッパでとられている制度があります。これは、国の政府が、港のシステムに対して大きな支配を持っているというものです。
もう1つのシステムで、現在のダイナミックな状況にもう少し合っているのではないかと思われるシステムがあります。これが地域のシステムで、昔ながらのハンザ同盟システムと呼ばれているもので、この港を管理しておりますのは、市あるいはその地方です。
3番目の制度になりますが、これは今起こりつつある展開と関連しているものと思われます。イギリスのトラストシステム、あるいは信託システムと呼ばれるものです。これは民営化を非常に強く進める、サッチャー政権の下で提唱されてきたものです。私が思いますに、イギリスのトラストシステムは良いものだと思います。と申しますのが、政府が自治を持つことができるからです。