また、国際的な新たな取り組み、枠組みについてもご説明していきます。
最初に、ヨーロッパの接続と、ヨーロッパの後背地についてです。まず最初に、ヨーロッパの港湾の特徴についてですが、状況は、日本と少し違うかもしれませんが、大体同じだと思います。ヨーロッパのいろいろな地域を見ていただきますと、その港湾のシステム、そのシェアが、長期間にわたって安定してまいりました。
将来のことについて申し上げますが、市場の力、ダイナミズムがどんどん過激になって、過度なものになってきておりますので、ヨーロッパのシステムの安定化は、もう望めないであろう、長期的に安定化しないであろうと考えております。
ロッテルダムが、ヨーロッパの中では最も重要な港湾となっています。これに続きまして、アントワープ、ハンブルグなどがあります。この3つが、ヨーロッパの中でも最も主要な港と見なされています。日本の皆様のご参考といたしまして、ゲートウェイポートという言い方がございます。この3つが、ヨーロッパのゲートウェイポートとなっています。
これを、例えば航空の制度と比較いたしますと、航空ではハブとスポーク、ハブは中心となる空港、また、スポークはその周辺となる空港ですが、これを例えますと、この3つの港湾は、ヨーロッパの中心、ハブとなっておりまして、ヨーロッパに入る、あるいは出ていく荷の中心となっております。
この第1段階の評価といたしまして、結論を申し上げます。港と、例えば重要なシーライン(船会社)との間の競争などになりまして、港湾間の競争が発生してきており、そのシェアが、港湾間でも奪い合いが起こってきておりまして、これはロッテルダムも例外ではありません。
この3つの主要な港、また、ほかの港湾もそうですが、重要な船会社で、海外との連絡をしようという船会社に対して、影響を及ぼすことができません。そこで、後背地での競争が発生しています。
そして、シーライン同士も、また船会社同士の競争も起きており、これが非常に重要になりつつあります。そこで、競争によって、主要な港以外の港湾を選ぶということが起きてきているわけです。つまり、この3つの主要な港以外です。例えば、イギリスにあります小さな港ですが、フィリックストーというのがあります。この港湾を船会社が選択することもあるわけです。ですから、ロッテルダムがフィリックストーと競争することも出てきております。2つの現象のうち、これが1つであります。
ここで、大変重要な結論となりますが、また、私の感想でもありますが、今まであったハブとスポークというヨーロッパの港の制度、このシステムが、船会社間の競争によって失われつつあるという実態があります。これは例えばアメリカの航空業界では一般に行われていることで、同じような現象が起きております。ですから航空は、自由なシステムの下では、ハブとスポークというシステムが、今なくなりつつあります。これがまず最初の結論であります。