ブロウニング リポートの中に、その辺の比較も盛り込んでいくつもりです。
質問9 少しお願いがあります。そのリポートの中に、日米の港湾管理者の性格の違いを書いておいていただきたいと思うのです。と申しますのは、午前中先生に少しお伺いしたときに思ったのですが、要は、日本の港湾管理者は、市であり、県であり、地方政府そのものです。アメリカの場合は、今日の先生のお話ですと、州政府とか、シティではなくて、どちらかというと、日本で言うと公益企業という、例えば都バスを経営したり、そういう公的な色彩を持っている企業体のようなものかなという感じを持ったのですが。
ブロウニング そうですね。似たような性格は持っております。
質問9 そこら辺が、私は、アメリカの港湾の制度をあまりよく知らないので、今回先生に教えていただいて、わかったというか、非常にうれしく思っているのですが、多分、多くの人も、その辺が理解しにくい今の情勢がありますので、アメリカの港湾管理者の方の、どういう組織なのかということを書いておいていただけるとありがたいです。
ブロウニング 私もそのつもりで、西岸だけですが、そちらのそれぞれのポートの中で存在します、ポートオーソリティの仕組みというか、性格を描写するつもりでおります。
質問9 それと関係して、最初の日に先生が言われた、アメリカでも、税金が投入されたものについて、民間企業の利益につながるようなリースはやれないのだというお話がありまして、ただ、……。
ブロウニング 最初の日の打ち合わせの中で、ワシントン州を例にとっておりまして、ワシントン州では、州法で、公共の資金が、民間の利益を生むために使われてはいけないということが、はっきり明記されていると申し上げました。
質問9 その場合に、アメリカの西海岸の港湾管理者は、それに抵触するというか、その法律に規制されるのかどうか。多分、そういうことではないのではないかと思っているのですが。
ブロウニング だからと申しまして、ワシントン州の法律が、例えばワシントン州のポートオーソリティに、次のような、例えばバースの建設とか、岸壁の水深を掘り下げることとか、上物を整備するというような活動に規制を加えることはできません。なぜならば、港というのは公共のものでありますし、地域の成長の発展に寄与する重要な動力源であります。ですから、港が金銭的な受け渡しなどをするのではなく、この土地を所有し、管理し、そして、それを貸し付けていくというシステムになっています。
質問9 ですから、リースでそういう契約をして、適切な対価を港湾関係がもらうのであれば、それは許されるということですか。
ブロウニング はい。
質問9 わかりました。
もう1つ質問したいのですが、先ほど午前中のお話で、施設を造るときに、サブスチュエーションとして、合意が整ったところで、施設の整備が始まってくる。その場合に、港湾の全体のマスタープランのような、ある程度将来を見越したプランは、港湾管理者のほうが持っているのでしょうか。