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2.2.2. 政策決定

 

1999年12月に運輸省設置の港湾審議会は日本の港湾の発展のために運輸大臣に対して答申を行った。答申では港湾局のとる対策として、

1) 広く日本全体の見地からの建設的な行政を行うこと

2) 港湾行政の地方分権の動きに対する支援を行うこと

3) 国の港湾行政方針についての透明性を確保し効率性の高いものにすること

を揚げている。110) 他の国々の港湾は周辺地域との競争に打ち勝つために、民営化されるか公社化(会杜化)されてきている。物流会社は各輸送モードにおいて戦略をコンサルティングすることにより、他の輸送モードとの結節点の改善を図って、より一貫した複合輸送を提供していく方向にある。インフラ開発資金調達における官民の連携は地方の港湾の競争力を高め、基幹ゲートウェイ(中枢)港湾を経由する貿易物流を改善するものである。111)

 

2.2.3. 地主型港湾

 

1997年の世界の上位100港をみると、そのうち88港が地主型港湾に類別できる。そこでは港湾当局(Port Authority)が港湾土地に対する最終的な所有権を保持して、行政規則を掌握している一方で、民間のオペレータによる商業的な運営がなされている。112)

 

港湾当局が地主の機能を実現し、港湾サービスや荷役業務を港湾利用者にゆだねるように港湾諸制度の基本的な変革を行おうとすると、民間事業者、関係諸団体と港湾当局を含むさまざまな組織的なしくみの影響を受けてしまう。最終目標は必要な競争力が確保できる港湾の生産性が実現できることである。この動きの一つとしては、コンテナの出荷元から仕向け先までを複合一貫輸送するものであり、その際運送者はコンテナの動き全体についてのコストを統制できることが必要である。このことは実績のあるターミナルオペレータではかなりの程度可能になっており、アライアンスによる海上輸送と内陸への複合一貫輸送を高い効率性を示してとりまとめることができる。113)

 

公共港湾の収入の流れを確実にしようとしたら、港湾当局は地主として公共的見地から港湾財産を管理しながら、効率的な方法で土地やインフラを民間事業者にリースする。つまり港湾財産を(営利活動のための)資産とみなすことが求められる。その際、土地やインフラをリースするターミナルオペレータには船社を誘致するためにあらゆるコンテナ埠頭のサービスを提供できる形で、この港湾で営業してもらう必要がある。114)

 

収益性確保の基本条件は従来の伝統的な港湾管理を改革し、地主機能と港湾運営者の機能とを分割することである。多くの場合港湾当局は基本的には地主であり、港湾の土地やリース代が市価に相当する額に見合うなんらかの方法で確保することに専念したい。115)

 

 

 

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