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コンテナターミナルの実績を評価する概念的枠組みを作るため、さらに運営データを補強するある種のデータを収集する必要がある。それには、バース数(岸壁延長と喫水を含む)、ヤード内の使用可能面積、“付加価値”を生じている物流施設があるか(その規模を含む)、ガントリークレーンの数と能力(吊り上げ荷重、作業範囲と呼ぶところの高さ)、コンテナの集積方法、コンテナの移動方法、ゲート運営の方法(自動かどうか)、情報技術の適用(EDIやインターネットなど)である。さらに、拡張の計画(超大型船への対応)、必要となる変革への準備、コンテナ当たりの収入と出費、コンテナ当たりの利益、総売上高利益率、ターミナルリース料、契約期間と見直し頻度、リース代は定率か、最低最高枠制か、出来高の歩合制か、誰がターミナル設備、建物、土地を所有し、リース部分の改善は誰がするのか、バースやターミナルまでの航路の浚渫は誰が行うのか、その場合誰がその浚渫費用を負担するのか、が検討項目としてある。業績を評価するためにはこれら全ての項目を検討評価すべきであり、それでコンテナターミナル運営のベンチマーク(指標)を設定すべきである。そうすれば港湾当局やターミナルオペレータはそのときどきで彼らのターミナル業績がどうであるかを明快に把握することができる。

 

2.2. 制度上のしくみ

 

2.2.1. 制度と組織

 

コンテナターミナルの建設や開発において利用者、運営者、管理者、そしてインフラと上物の作り手がそのプロセスに関与してくることが必要である。全ての利害者は参画しないといけない。行政側、港湾当局、民間のオペレータ、荷役業者、港湾借り受け者などである。108) 日本の港湾の規制緩和は非常に大事なステップである。これは今の国の状態を考えればとくに大事である。貿易額の80%は船で輸送される。日本は海上輸送を導管として世界貿易を行っている。貿易の流れを持続させるためにも効率的な港湾とコンテナターミナル運営は重要な意味をもってくる。それは所得配分の流れを作り、仕事の安定性をもたらす。アジア太平洋地域で競争力のある港湾を一つ選べと言われたら、船社やターミナルオペレータは、運営の自由度が一番ある港湾で仕事をしたがる。彼らはそこで港湾労働者が採用でき、港湾運送のオペレータとしてまたターミナルオペレータとして業務できることを望む。アジアの競争的港湾においては24時間の荷役サービスを提供し、バース間で船を融通させたり、アライアンスの船が入れるターミナルが多い。日本のコンテナターミナルにおける過去の慣習はこのような自由度を示すことが出来なかった。1998年7月に発行された運輸省の海運白書では、日本の規制づくめの港湾と港湾運送事業のしくみがアジアにおける日本の地位を下げる要因となっており、日本への寄港から競争力のあるアジアの港湾へのシフトを加速させているのである。109)

 

 

 

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