米国では、このような施設過剰は米国西岸港において大きな問題となってこなかった。むしろ実際は、より大きな問題はいかにコンテナ貿易の成長に合わせて迅速にターミナル整備を行うかというところにある。しかし前にも述べたが、米国の西岸港のどのゲートウェイを使うかは利用者側の裁量によるし、西岸の大きな港はターミナル増設のために土地を購入するか造成する能力があるので、他の港湾との競争が強く存在している。この状況は料金へ影響しており、特に太平洋岸北西部では実質的に南カリフォルニアの料金より低くなっている。103)
2.1.4. 生産/運営
この大交流の新時代においては技術的変革、組織上の改革は港湾の生産性向上のために実施されなければならない。そして物流における非効率性で国としての比較優位性が損なわれないことを保証するためにも変革が必要である。104) 運営手法や時間当たりに扱えるコンテナ量も個々の港湾で大きく違っている。これは港湾の経済規模の違いによるところが大きい。“時間当たりのコンテナ取扱量”はターミナル稼働実績の一般的な指標である。しかしターミナルのコンテナ取扱能力にはその他の要素があり、そのによって能力差が生じる。“岸壁延長、コンテナヤードの混雑度、岸壁クレーンの往復速度、寄港のパターン、積載量の何割を寄港時に荷揚げ・積み込みしているかのコンテナ取扱数、船の規模、そして税関業務”などの要素がある。105) コンテナがヤードでどのように荷役されているかも非常に重要な要素である。
コンテナ港の実績をみるためにある種の概念的枠組みを作ろうとすると、ある種のデータを収集して評価することが必要である。そこにはさまざまな運営上の項目に関する情報がある。例えば、船の寄港時間として着岸平均時間と待機時間、時間あたりのTEU数、岸壁延長当たりの比率を含む取扱実績、収容率、使用率、ヤード取扱実績、ヤード保管能力、正味と名目のゲート通過量 106)、トラックの回転率、全労働生産性、そしてこれまでのコンテナ取扱実績などである。これらは将来、生産性の広範な研究をする際に使用すべき指標となる。
2.1.5. インフラ/上物
世界のコンテナ物流は現在から2010年にかけて年率4から5%の成長率を示すと期待されている。すべての港でのコンテナ取扱量は2.7億TEUに達するものと予測されている。民間事業者がコンテナターミナルの運営に参画し、インフラ整備の資金負担を行うことがこの過去10年において顕著になってきた。生産性の向上を考慮しても、新たな施設需要は世界的に沸騰して、2005年までに200から300のコンテナ専用のターミナルが必要になる見込みである。107)