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将来の東アジアの主要港(load center)

どのアジアの港湾が主要港(訳者注:筆者は後背地との結びつきが強く、貨物取扱量が多い港をロードセンターと呼び、トランシップ貨物が多く集まる港をハブ港と呼んでいる。そこでロードセンターには主要港の訳語を与えている。)になるかについては、地理的位置、運営の効率性と費用対効果の高い運営を総合的に考慮して決めるのが穏当である。また今後の成長の大部分は中国市場であり、そのため香港やすでにある中国本土の主要コンテナ港の他にハブ港が生まれてくると言ってよい。97)

 

将来の東アジアのハブ港

高雄港、寧波(ねいは)港、釜山港、烟台(えんたい)港や香港がどれも候補者と考えられる。高雄港は評判がいいし施設も良好である。これは釜山港も同様である。香港も同様にその地位継続に努力しているが、やがては珠江デルタ南部の烟台港がその役割を継承するであろう。それは本土に建設中の国際的なトランシップ貨物のための大水深港であり、鉄道や航空速達便を備え、本格的に複合一貫輸送のロジスティクス施設を提供できるものになる。

 

将来の日本のハブ港

もし以下の条件が満たされるならば、日本の港湾がハブ港となることが可能である。

1) 低価格のトランシップサービスの提供

2) 安全確実で迅速な取扱による高品質なターミナル運営の確保

3) 年間を通して24時間・365日操業

4) 規制緩和による全体としての競争状況の促進

 

この考えに北九州市は大いなる関心を持っている。彼らはこの条件を達成できる新ターミナルを響灘に建設中であり、全黄海圏でのハブ港として機能させる。北九州港は北米間との貿易において他のアジアの港湾とは競争状態にあり、日本海を通り、本州と北海道の間の海峡(津軽海峡)を経由する北米航路のハブ港、または最終寄港地になろうとしている。98) 北九州の西部には5年後に新空港が完成する予定であり、この響灘を補完する。99) 他の日本の港湾は高雄港、香港、シンガポール港や他の日本港湾との競争によって、貨物の減少を生じているものの、ハブ港とフィーダー港の機能を同時に持ちたいと考えている。100) 沖縄はハブ港やトランシップを行う中心地として好立地である。大きなハブ港として開発されるには、一通り上物や施設整備が完了した後の船社側の支援があるかどうかに左右される。しかし、どの船社がそこを使うのか。ハブ港として新規開発を行うことはリスキーである。神戸港は歴史的な蓄積や背景としてハブ港であったが、今の高コスト状態では将来の繁栄も難しい。101)

 

施設過剰と港湾間の価格競争

ターミナルオペレータの観点からすると、施設過剰によって港湾間の競争が生じる。海上航路の確保のために港湾管理者は料金削減の努力をしている。それは諸料金の全体的な低下に効果がある。また船社側も荷役料金とともに港湾料金の値下げを港湾管理者に要望している。もともと少量のコンテナ貨物しか扱っていない港湾にとってはこの熾烈な競争で将来はもっと拡散するビジネスに直面している。102)

 

 

 

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