港湾局はより多くの船社に来てもらいたいが、そのためには何をするべきだろうか。中小の船社は公共ターミナルを使用することが推奨される。他の船社とアライアンスを組むような大手船社が寄港してターミナルを多忙にし、費用(取扱単価)を削減することが必要である。こうなるためにはターミナル自身がより使いやすい港になる必要があり、港湾の組織的な構造改革が求められる。92)
北米西岸と東アジアにおける貿易やコンテナ取扱の将来予測
日本は、アジア諸港が将来的に成長すると見込まれているので幸運である。距離が近くてアジア間の貿易も中国がWTOに加入することで増大する。中国の拡張する経済に伴って北米と東アジア間の貿易はとくに輸入分野では今後も成長していく。激化する競争、価格削減競争や大型コンテナ船の増加はコンテナターミナルの運営のあり方に対して大きく影響してくる。結果として寄港港湾の絞り込みは一段と進み、地域ごとのハブ港の役割もますます重要になってくる。特に中国では多くの港湾が分散しており、大型船をもつ船社は寄港する港湾を減らしている。93)
米国では北米西岸と東アジア間の貿易は将来的に明るいと判断している。シアトル港を経由する大部分はアジアからの貨物であり、それは90%を超えている。ワシントン州の公共港湾協会の最近の研究では、今後の20年間は年率3から5%の範囲の増加率でコンテナ貨物が増えることを示している。南カリフォルニア州の最近の予測ではアジア太平洋貿易はより高い値の年間増加率を示している。94)
米国、カナダ、メキシコの港湾、その特にコンテナ港はその地域と共に将来的なアジア貿易量の増大を見込んでいる。中国貿易の将来性は魅力的であるし、日米間の輸出入が強化されることも有望視される。スエズ運河を経由してアジアと米国東岸を結ぶルートはさほど成長しないであろうが、西岸港が労務事情、生産性、混雑の大きな課題に戦っていかない限り、東アジアと北米東岸の結ぶ海上―鉄道の複合一貫輸送は強化されてくるであろう。ブリティッシュコロンビアのバンクーバー港はコンテナ港としての成長を続ける。とりわけBNSFとカナダ国鉄の合併で新会社が設立されたように、カナダの鉄道業界は非常に競争的である。95)
将来の米国西岸の主要港(load centers)
ロサンジェルス港、ロングビーチ港、シアトル港やタコマ港などの大水深バースがあり、後背地への結路のしっかりした港湾は、東部地域や内陸部への鉄道輸送網で有利であり、これからも今日あるように主要港の地位を保つ。ロサンジェルス港とロングビーチ港が第一位の主要港湾の地位を保ち、シアトル港とタコマ港はその次に重要な港湾として存続する。オークランド港は第三位レベルの主要港として続く。カナダのバンクーバー港が成長を続け第四位の主要港もなる可能性もある。96)