より魅力的なターミナルを作り上げるために、インターネットの使用やその他の技術革新で物流をより効率的にすることは、米国政府はほとんど関与してこなかった。むしろ個々の港湾当局、シアトル港やタコマ港、またロサンジェルス港やロングビーチ港では新しい技術を取り込んでターミナル運営をより効率的にし、貨物流通のロジスティクスを改善することの実施に向けて動いている。85)
労働問題、および取扱量拡大の競争、新技術採用の必要性、生産性向上などについての議論
米国のシアトル港では、港湾労働者と取扱量拡大競争や新技術採用の必要性について数多く議論を重ねている。彼らはそれらの話し合いが続行されることを望んでいるし、しかる後には、ターミナルスペースをより効率的に使用するために労働協約の変更する必要性も生じると思われる。86)
2.1.3. 市場
日本の港に寄港する外国のコンテナ船の数は相当数減少してきている。香港やシンガポール港ではこの10年間でコンテナ取扱量を5倍から6倍に増加させているのに対して、日本の港湾では神戸港をはじめとしてこのような増加にはほど遠い状態である。87) 新規参入制限や価格の硬直化状態、さらには埠頭で船社が実施できることとできないことなどの規制が日本における港湾競争を阻害してきた。事前協議制度、規制の多い政府による港湾運送事業の免許制、そして労務制限の慣行は外国船社を長年に渡って悩ましてきた。このことが日本の港湾を他のアジアの港湾に比べてこのlO年での成長率に遅れをとった要因であり、仕事や収入をアジアの競合する港湾にもっていかれている。88) 日本のコンテナターミナルはアジアの競合する港湾と比較して、競争が激しくなってきたのと時を同じくして、非効率になってしまった。89)
一般貨物のコンテナ化は過去20年間で着実に進展してきた。1990年と1998年では世界のコンテナ輸送量は二倍になって1億7,500万TEU(TEU: 20フィートコンテナ換算値)に到達した。空コンテナの輸送も全体の20%あると推計される。コンテナ輸送は不均一に分布している。極東地区が最大シェアの45%、欧州23%、北米16%、中近東6%、中南米4%のアフリカ3%である。海上輸送費は輸入価格に占める率としては1980年における世界全体の平均値6.6%から1995年には5.3%に減少してきている。90)
コンテナによる貨物輸送は非常に競争的である。それは船社間の競争であったが、今や国内の港湾と海外港湾との競争になっている。将来的には港湾運送事業者は市場に対しての営業を拡大していくであろうが、そのときこの変化に対応できるように再編される必要があろう。91)