新しい制度改革では、港湾の効率を向上させ、低料金で「使いやすい」港にしていくことが求められる。新方式では港湾管理者、埠頭公社と船社の三者の主体が存在する。他の新たな方式も同様にあるはずだが、港湾当局は変革する事に対して困難さを認識している。しかし、今は外部へ目を向け始めている。58) 誰が主導権をとるべきか、それは公共当局の役割なのか、民間セクターの役割か、それともその組み合わせの問題なのか、どれが最善なのか。59) 名古屋港では、官民共営での株式会社によって運営されるターミナルがある。これは、もう少しその仕組みを変更すればコンテナターミナルのモデルとして通用するのではないか。60) 博多港では、港湾局と民間事業者で協議会を結成してよりよいターミナルづくりとサービスの増大を目指している。61) 東京港では官民で協議会を結成して、コンテナターミナルの営業時間に関する検討会を設置している。この種の努力は他にもあるのか。
北米西岸は非常に競争が激しい状況にある。西岸を経由する貨物の多くは自由裁量(discretionary)貨物と呼ばれている。それら複合輸送の貨物にとって、港はあくまでの通過点でありそれらの貨物はどの港を使ってもよいからである。つまり複合輸送貨物は中西部以遠の内陸部の拠点へ仕向けされる。それゆえに、公共の港湾当局とターミナルオペレータの契約関係は、非常にターミナルオペレータや船社に有利なものとなっている。というのも、彼らは貨物を今の港から別の港ヘシフトさせることができ、シフトしても目的地までの貨物輸送の効率性は損なわれないからである。62) 港湾局が全く強い立場で、全く"独立"しており、港湾の業績に対して責任をとることができる場合も時にはあるが、そのような場合は港湾利用者である船社やターミナルオペレータがそのような業績に貢献しているのである。63)
ターミナルの計画・開発・費用便益分析
日本においては社会的便益と費用は重要である。64) ターミナルの計画・開発・費用便益分析は地域の発展や雇用などについて社会的便益と費用を考慮してなされる。港湾は公共の財産であり、政府はゲートウェイ(中枢)港とその運営についての調整をする使命がある。費用便益分析は比較優位性を発展させたり、効率的な物流システムの推進や国家としての競争力を維持するのに効果がある。
博多港のアイランドシティでの新しいコンテナターミナルの部分には干潟が存在して、市民の反対を受けてきた。法律上の手続きでもって反対を表明し、判決はその反対を認めるものであった。この環境上の決定事項は依然として考慮が必要である。アイランドシティにはエコポートの部分がある。これは大きなスケールであらゆるタイプの物質を循環できように設計された開発である。災害時に日本の主要港はその後背地に物資を供給するわけであるから、耐震バースは重要である。この耐震バースは公共財産であると見なせるものであり、政府の補助金で整備されるものである。65)
近年はさまざまな事業において経済分析と費用対効果分析がなされるようになったが、それ以前は(当事者である)港湾管理者だけが財務計画をチェックしていた。