岸壁上の上物、CFS の整備は埠頭公社によってなされ、管理運営は借受者によりなされる。49) 新しいターミナルは24時間365日営業で迅速で信頼性があり時間厳守で競争力のあるサービスを提供しながら、その地域での最底価格の港湾料金を目指している。
名古屋港では鍋田埠頭に15m岸壁2バースがリース用に2001年の竣工予定であるが、その内の一つは誰にどのような形でリースするのかといった疑問が生じる。一つは埠頭公社の整備するものであり、もう一つは岸壁を公共で整備して、民間事業者が運営する「新方式」である。まだ自治体側で判断することがあるようである。現時点では関係する船社はなく、港湾管理者側の懸案事項となっている。50) 横浜港では南本牧に4つの新バースを建設中であり、横浜港を通過するコンテナ貨物の1/4を取り扱う。16m水深の岸壁及び15m水深の岸壁はそれぞれ2バースである。それぞれのバースは延長350m、奥行き500mであり、全面積は175,000m2である。南本牧バース全体で19,000TEUの保管能力を持ち、10,000TEUの超大型コンテナ船に対応できる。51) 52)
日本では1999年12月に運輸省の港湾審議会が答申を出しており、そこで港湾管理者は将来的には政府の承認なくターミナル建設は行えないこと、また、ターミナルの整備資金調達には特別の承認が必要となるようにすることを提言している。この答申では次のような行政上の対応も提言している。
1) 港湾行政の方針を形成するに当たって、国として計画と広域計画を明確にすること。
2) 重要な港湾の分類(港格)の見直し。
3) 政府による直轄工事の適用範囲を明確にする。
4) 政府の予算負担額の見直し。
など。53)
米国では地方の港湾局は自分で立てた計画に対してほぼ全面的に貴任があり、中央政府の管理からは独立している。営利企業としての港湾計画に国が関与することはない。54) 国が関与するのはもっと大きなスケールにおいてであり、航行支援のために沿岸警備隊(the U.S. Coast Guard)があり、浚渫のためにエンジニアコープス(Corps of Engineers)がいて、一般的な監視と研究組織として運輸省(DOT, Department of Transportation)とその配下の海運局(MARAD: Maritime Administration)がある。これらが米国政府の関与を代表している。55)
公共(港湾局)と民間(ターミナルオペレータと船社)の契約関係
日本では地方自治体と港湾管理者が、公共施設に関するすべての決定権限を持っている。しかしながら、日本の港湾は多くの場合、労働者、港湾運送事業者や海運事業者からの影響を受けて決定がなされている。56) 埠頭公社は港湾管理者により設立された公益法人である。57) 公共と民間の合わさったターミナルが民間の専用使用になる新方式が稼働すると、公共と民間の間の関係もあいまいになってくる。古い方式において利用者は平等に扱いを受けていなかった。例えば公共埠頭はすべての使用者に開放されているものであるが、実際は少数の船社や複数の港運業者によって使用されていることがしばしばである。