シアトル港の場合、港湾局の海上関係の年収はおよそ1億ドルである。税収として3500万ドルを徴収するが、それを資本投資にあてがい運営費にあてることはない。歴史的にシアトル港は収入においても財務支援においても、連邦からの支援はほとんど受けていない。過去10年間を見ても、港湾局や港湾局の関与する資本形成事業に対してなされた連邦側の援助は500万ドル以下である。(これを同期間に行った港湾投資額の8億ドルと比較するとよい)37) 一般的に米国の公共港湾はたいていの場合、公債の発行などで資金調達が行え、それでもってターミナル拡張のための建設や施設整備をおこなうことができる。38)
港湾計画への政府の関与
日本では港湾計画は法律に基づいて行う。中央政府がすべての港湾に対しての指針を策定する。港湾管理者は地方自治体と協同作業で、彼らの計画案を政府にチェックしてもらう。地方の港湾建設局が計画案、提案書、調査報告書、地理的需要、建設方法、安全性、設計、実施工程や技術上の開発事項をチェックする。39) 予算の配分はそれぞれの港湾の重要性レベルによっても違ってくる。つまりゲートウェイ港にはより多くの予算が割り振られる。40)
国家的な要請のある部分にも重点投資される。例えば東京湾と太平洋岸には9つのコンテナ港が存在する。災害時に輸入コンテナによるその地域の消費がいかほどであるかを考慮することが肝心である。日本の人口の25%つまり3,000万人は東京地区に住んでいる。東京港と横浜港はこの人口に対してサービスしている。41)
政府はまた港湾の機能面の改善についても関心があり、特に6,000から8,000TEU扱う大型船が着岸するコンテナターミナルにおいて、省力化技術を検討したり、港湾施設の建設費の削減を検討している。別の関心をもっている方法としては「最善事例」として共有できるような港湾技術の評価制度の確立である。42) また、二建、三建、四建、五建の管轄する地区ではそれぞれゲートウェイ港を開発していく必要がある。43) 2003年に竣工予定で現在建設中の響灘は九州地区に対するゲートウェイ港として設計されている。これは利用者に使いやすい、低い港費を実現できるように計画されているコンテナターミナルの例である。44) 浚渫と埋立が進行中であり、新しい道路もできつつある。港湾建設における長期計画は、重要な部分はどこであるかを明確にして政府により実行されている。その上の上物整備については地方政府の主導権がより発揮される。しかしここでの疑問はいかにこの計画を国家的に位置づけるかとういことである。45)
日本では政府が計画方針を示し、地方の港湾管理者がそれを具現化して国に承認を求める。46) 小規模な開発は港湾管理者の自主的な判断で可能である。47) 港湾の計画は確かに港湾管理者によってなされるが、需要予測や計画概要の妥当性は中央政府によって評価される。48) 北九州港湾局は大水深バースを複数もつコンテナターミナルを開発中である。それは2,000ヘクタールもの埋立を行うエリアの一地区として2003年に竣工する予定である。港湾局は土地とバースを公的セクターで整備しながら、新しいターミナル方式として開発しようとしている。