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神戸港には2つの船社に対して専用貸しの2つのターミナルがあり、商船三井とコスコがそれぞれ350mx350mのバースを2カ所専用借りしている。埠頭の建設と上物整備はすべて埠頭公社によってなされている。荷役作業と機械は民間サイドで提供している。専用貸しを受けるには10年契約が必要であり、そのリース代は建設費とリース交渉に基づいている。以前は専用貸しのリース代は1バース年間5億円であった。新しい公社バースは1バース年10億円であり、上記の2つの例では2つのバースに対して年20億円の負担をしている。30)

 

米国では、土地や岸壁は民間セクターの組織に貸し出されるが、その土地を専用で使用できるが、税収を使用することはない。ある意味では彼らも税収の恩恵を受けているといえる。というのも港湾局はターミナルの財源確保の借金をサポートしているからである。しかし、税収が直接的に民間セクターの組織にいくことはない。31)

 

公共港湾と公的企業による港湾の概念(これらは一致する必要があるが)は、米国では実現可能であると受け取られている。米国連邦政府は港湾の運営管理には本当に干渉しないし、一方で港湾局も次元の低い行政レベルで関与するだけである。沿岸部の土地・ターミナル・埠頭を民間企業に専用で貸し出すことは、とくに大型港湾の場合には、市場の求めに応じるよい方法である。この「地主型港湾」は米国で普通であり、港湾局と民間の船社やターミナルオペレータとのリース契約は、今や非常に洗練されたものであり、お互いの利益のために協議されるものである。32)

 

港湾やターミナルヘの財務支援

日本では通常建設費用は公的な補助金でまかなわれる。33)資金調達には3つのタイプがある。

1. 岸壁、バース(泊地)、道路や緑地に対する補助金

2. 岸壁、クレーン、施設や荷役機械に対する(港湾管理者による)起債

3. 維持費に関連する別の事業を行う為の港税34)

 

建設費は国・自治体・民間が出し合ってまかなわれる。港湾当局は以下の時点で財務支援を受ける。

1) 共同調査や支援調査のような事業調査を実施する時点

2) 環境アセスのような港湾計画の立案調査を実施する時点

3) 事業調査、設計料、建設費用の財源を確保する時点

当事業の評価は次年度予算案提出時に評価される。35)

 

公共方式、公社方式、株式会社方式、新方式におけるぞれぞれの財務調達や収入の流れはこの節の「制度」の部分で示した。日本の役所は中央も地方も改革に対して、いままで以上に開放的で民主的になってきている。これは透明性の確保につながる。この透明性がコンテナターミナルの財源確保、建設、そして貸付において重要なことである。36)

米国では、港湾収入の大半を営業とリース代収入で確保している。港湾運営はすべてこの営業収入でまかなわれている。

 

 

 

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