2.1.1. 労働状況
さまざまな検討項目を調査した。ターミナル運営、安全、ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントにおける研修教育制度。公共埠頭や民間専用岸壁ではどの労働組合が活動しているか。運営の1日当たりの時間、週何日で、年何週か。ターミナル労働者のさまざまな階層での賃金レベル。残業、夜間勤務、週末や休日出勤の手当などである。とくにターミナルの営業時間と営業日数についての調査は最も重視した。労務状況はコンテナターミナルの運営費に大きく影響してくる。労務交渉により他の関連業務の平準賃金と比較して高めに設定されてきたし、時間外手当が高いために米国や日本のコンテナターミナルにおいて休日なしの24時間オペレーションを行うことができない状況である。
米国では国際港湾荷役組合(International Longshore and Warehouse Union)による西岸沿岸協定(West Coast waterfront contract)があるので、夜間作業や週末作業が実施しづらい。というのも、港湾労働者はそれらの作業に対して、時には平時の60%もの割増金を支払われるからである。SSA(Stevedoring Services of America)はロングビーチ港のパシフィックコンテナターミナルでCOSCO(China Ocean Shipping Co.)の荷役をしている。最忙期には平日の午前8時から午後5時までの標準時間において、コンテナの一時停止時間(ゲート通過時間)が多くなった場合に、何百ものトラックの待ち列を生じている。1998年夏にSSAは最忙期には5週間連続で特別に土曜日のゲート作業を行うと発表した。しかしながら、ターミナルに来るトラック数が多いだけで土曜日のゲートオープンのために休日運営ごとに5,000ドルから6,000ドルの追加費用が生じることを正当化できるものではない。4)
日本でも同様な状況がある。平日においては、荷役は午後4時半に終了するが業務上延長されるときは、通常時間の30%から60%の割増金が要求される。運輸省は荷役サービスを改善することで24時間サービスができるように努力している。5) 東京港は2000年3月より試用期間として、ゲート開場時間を延長することを決めた。「延長時間の試験運用は1日において3回実施される。ゲート開場前の早朝、昼休み時間、そしてゲート閉鎖後の夕方である。」この決定は東京港振興協会の研究結果の一つのアクションプランとしてなされた。協議会は港湾運送業界、コンテナ船社、労働組合、東京都、東京港埠頭公社、ターミナル関係者、荷主、トラック業界、それに東京港振興協会により構成され検討された。彼らは143の海上輸送関連会社に対してアンケート調査をした。その結果、荷主の62.9%、船社の80%、それにトラック業界の90%が時間延長に賛成であった。しかしながら、港湾運送事業者は時間延長は人件費の増大などのある種の問題が生じると指摘し、労働時間配分を再考するよう求めている。労働組合もまた交代制労務の実施を要求している。6)