この日本と北米西岸の海上コンテナターミナルの比較研究により、明確になった最善策(best practices)を関係するものすべてに対して適用していくこともできる。さまざまタイプの制度上の改革もその最善策に含まれる。この研究はそれらの課題をこの大交流時代における競争の面から捉えようとするWAVEの先見的なアプローチである。この研究により、長期的にはすべての地域で持続可能な貿易が促進され、すべての人に高い繁栄をもたらす健全で環境を考慮した成長が促進されることを望んでいる。
コンテナターミナルの運営
米国やカナダ西岸のコンテナ港は制度上や運営形態で日本の港湾とは違った形で運営されている。西岸港は多くの場合同一の荷主、船社とターミナルオペレータによって使用されている。今回研究する三カ国において、すべてのコンテナ港についていえるのは労務状況の調査検討が大切であるということである。その他の重要な調査検討項目としては、それぞれの外貿コンテナターミナルにおける制度方式であり、例えば港湾当局、船社、ターミナルオペレータとあるいはその他の関係者間の様々なタイプのリース契約などである。さらに、コンテナターミナルを使いやすく(user friendly)するためにどのような技術を活用しているか、そしてターミナルの生産性も比較検討項目である。
今や日本ではコンテナターミナルの運営方式に四つのタイプがあり、公共方式、公社方式、株式会社方式に新方式である。これらはWAVEのボラード・ニッポン第10巻(1999年3月発行)の“Container Terminal Systems and Trend in Japan”で説明されている。北米においてはコンテナターミナルの開発運営制度について二つの基本型がある。施設サービス提供型(the Facility Service Provider model)と地主型(the Landlord model)である。施設サービス型港湾は一般の港湾と見なすことができる。公的サイドが港湾関連のサービスを全体として供給し、港湾荷役まで行う。これは米国西岸におけるポートランド港がその類型の代表である。日本のコンテナターミナルにおける新方式に似ている。地主型のターミナルはロサンジェルス港(6箇所)、タコマ港(6箇所)、ロングビーチ港(8箇所)、オークランド港(8箇所)、シアトル港(6箇所)、そしてカナダのシアトル港(3箇所)に存在し、北米西岸には全部で48箇所の地主型のターミナルがある。
米国の多くの地主型港湾はコンテナターミナル計画に対して、この地主型の整備運営方式をとっている。ロサンジェルス港にあるAPLの300番コンテナターミナルがそのよい例である。港湾当局はポートランドにAPLの仕様でターミナル整備を行うことについてAPLと契約を交した。ターミナル竣工後はAPLに長期に渡ってリースされる。交渉内容や契約事項の取り決めで、APLにはクレーンや他の荷役設備の購入と所有が要請された。その他のほぼ同一の方式で整備された港湾としては、タコマ港のシーランドターミナルやロサンジェルス港やロングビーチ港に新設されるターミナルがすべてこの方式である。3)