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(3)工場再配置促進法

70年代の過疎過密問題の解消を狙った法。この法に基づく指針となる「新工業再配置計画」は工業立地の地方分散を推進するもので、工業立地の地方分散を推進することにより、過密・過疎問題の同時解決を目的として施策方針となっている。

 

6. 土地利用規制(港湾法と都市計画法)の比較

 

(1)規制の法的位置づけ

・都市計画法…国の法律に基づく規制

・港湾法…各地方公共団体の条例に基づく規制

国の法律に基づく都市計画法の規制は、残酷一律基準で地方の特色を十分反映することはできない。

一方、港湾法の規制は地方公共団体の条例によるので、地方公共団体の裁量権で各地域の特色等に応じた規制内容とすることが可能である。そのことが十分生かされている実態とはほど遠く、わずかな相異はみられるが、基本的には全国横並びの内容となっている。

 

(2)規制の方法

・都市計画法…第一種・第二種低層住居専用地域及び第一種中高層住居専用地域は「……することができる建築物」が規定されているが、そのほかの区域はすべて「してはならない建築物」が規定されている。

・港湾法…全ての分区は「許容される構築物」が規程されている。

「してはならない建築物」が規程されている規制は、「表示されている以外のものは何でもできる」ことを意味し、都市計画法の規制は比較的緩やかである。

一方、「許容される構築物」という規制は「表示されているもの以外はできない」ということで港湾法の規制は極めて厳しいものとなっている。

 

(3)地域地区及び分区の種類

・都市計画法…12種類の用途地域

・港湾法…9種類の分区

都市計画法の用途地域のうち、都市の中でも用途が複雑な環境にある住宅系のものについては7つに分けられている。

 

(4)規制の緩和

・都市計画法…一定の区域を対象に公共性を担保することで用途制限の適用除外を行っている。

・港湾法…特定の施設を対象に港湾管理者の特認による分区規制の適用除外を行っている。

都市計画法では、再開発地区計画制度や法定再開発事業のように一定区域を定めて用途制限の適用除外(穴抜き)を行っているが、港湾法では個別施設を対象としている。

都市計画法及び港湾法のいずれの規制も一定の空間が対象であり、その緩和についても都市計画法による区域を対象とすることがより現実的な取り扱いである。

 

 

 

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