(3) 公共施設等の管理者等は、民間事業者に対する関与を必要最小限のものにすることに配慮しつつ、適正な公共サービスの提供を担保するため、以下の事項等を考慮し、協定等でこれらについて合意しておくこと。
(イ)公共施設等の管理者等が、選定事業者により提供される公共サービスの水準を監視することができること。
(ロ)公共施設等の管理者等が、選定事業者から、定期的に協定等の義務履行に係る事業の実施状況報告の提出を求めることができること。
(ハ)公共施設等の管理者等が、選定事業者から、公認会計士等による監査を経た財務の状況についての報告書(選定事業の実施に影響する可能性のある範囲内に限る。)の提出を定期的に求めることができること。
(二)選定事業の実施に重大な悪影響を与えるおそれがある事態が発生したときには、公共施設等の管理者等は選定事業者に対し報告を求めることができるとともに、第三者である専門家による調査の実施とその調査報告書の提出を求めることができること。
(ホ)公共サービスの適正かつ確実な提供を確保するために、必要かつ合理的な措置と、公共施設等の管理者等の救済のための手段を規定すること。
(へ)公共施設等の管理者等による選定事業に対する、上記(イ)から(ホ)までに基づく協定等の規定の範囲を超えた関与は、安全性の確保、環境の保全に対する検査・モニタリング等、選定事業の適正かつ確実な実施の確保に必要とされる合理的な範囲に限定すること。
(4) 選定事業のリスク分担について、想定されるリスクをできる限り明確化した上で、リスクを最もよく管理することができる者が当該リスクを分担するとの考え方に基づいて取り決めること。また、経済的に合理的な手段で軽減又は除去できるリスクについては、適切な措置を議ずるものとし、協定等において、その範囲及び内容を、できる限り具体的かつ明確に規定すること。
(5) 選定事業の終了時期を明確にするとともに、事業終了時における土地等の明渡し等、当該事業に係る資産の取扱いについては、経済的合理性を勘案の上、できる限り具体的かつ明確に規定すること。
(6) 事業継続が困難となる事由を、できる限り具体的に列挙し、当該事由が発生した場合又は発生するおそれが強いと認められる場合における協定等の当事者のとるべき措置を、その責めに帰すべき事由の有無に応じて、具体的かつ明確に規定すること。事業修復の可能性があり、事業を継続することが合理的である場合における事業修後に必要な措置を、その責めに帰すべき事由の有無に応じて、具体的かつ明確に規定すること。事業破綻時における公共サービスの提供の確保については、上記(5)に規定する当該事業に係る資産の取扱いを含め、当該事業の態様に応じて、的確な措置を講ずることを規定すること。
(7) 協定等の解除条件となる事由に関し、その要件及び当該事由が発生したときに協定等の当事者のとるべき措置について、上記(5)及び(6)に留意の上、具体的かつ明確に規定すること。
(8) 上記(4)から(7)までに規定する協定等の当事者の対応が、選定事業における資金調達の金額、期間、コストその他の条件に大きな影響を与えることに留意し、適切かつ明確な内容とすることに留意すること。また、当該選定事業が破綻した場合、公共施設等の管理者等と融資金融機関等との間で、事業及び資産の処理に関し直接交渉することが適切であると判断されるときは、融資金融機関等の債権保全等その権利の保護に配慮しつつ、あらかじめ、当該選定事業の態様に応じて適切な取決めを行うこと。
(9) 選定事業者の責任により組成される金融の仕組みによって、選定事業者の破綻に伴い、金融機関等第三者が選定事業の継承を要求し得る場合には、公共性、公平性の観点に基づき、継続的な公共サービスの提供を確保するために合理的である限りにおいて、あらかじめ、協定等において適切な取決めを行うこと。
(10) 協定等若しくはその規定の解釈について疑義が生じた場合又は協定等に規定のない事項に関し係争が生じた場合に、これらを解消するための手続その他の措置については、当該選定事業の態様に応じ、あらかじめ、具体的かつ明確に規定すること。
3 選定事業者が、国又は地方公共団体の出資又は拠出に係る法人(当該法人の出資又は拠出に係る法人を含む。)である場合、公共施設等の管理者等は、具体的かつ明確な責任分担の内容を、選定事業者その他の利害関係者に対し明らかにし、透明性を保持するよう特段の配慮をすること。
4 選定事業者が、当該選定事業以外の他の事業等に従事する場合に、かかる他の事業等に伴うリスクにより当該選定事業に係る公共サービスの提供に影響を及ぼすおそれがあるときは、この影響を避けるため又は最小限にするため、協定等に必要な規定を設ける等、適切な措置を講ずること。また、選定事業者が、選定事業を実施するために新たに設立された法人である場合に、選定事業の実施に係る懸念を解消するため適当なときは、公共施設等の管理者等と選定事業者の出資者との間で、選定事業の適正かつ確実な実施を担保するために必要な措置を、経済合理性を勘案の上、別途合意しておくこと。