住宅を含めた都市的機能の配置は道路や公共交通機関の整備を促進する効果もあり、このことは一般市民だけではなく、そこに働く労働者の就業環境の改善にも効果があり、ひいては日本の港湾の国際競争力の向上につながるものでもある。また夜間人口が生まれることにより地域の安全性が高まることも期待される。
以上のように一般市民も対象とした都市的機能の導入は、防災上の問題、人と貨物の錯綜及び騒音に対する苦情といった物流・生産活動への影響について予め慎重に対処さえすれば港湾機能の向上に寄与するものである。
一方、バブル経済の崩壊後、企業経営の悪化や産業構造の転換に伴い、遊休化する用地・施設が増加してきており、この際、臨港地区の解除を生む土地利用転換を図り、住宅・商業・ニュービジネスなどを導入し、土地利用に多様性を持たせることによる相乗効果を発揮させることも一案である。
これからの臨港地区は、物流機能と生産機能だけが個別に機能するのではなく、それらの複合機能や市民生活に潤いを与える都市的機能を併せ持った融合空間であるべきある。