3. 融合・連携を目指した臨港地区制度
本来臨港地区は物流や生産活動を中心とする港湾活動を円滑に行うために設定された地区であるが、近年の経済・社会の変化に伴い、その制度の内容についても検討していく必要がある。
(1) 臨港地区の目的と内容
1) 目的
港湾は、船舶が利用し、港湾施設が設置される水域と、その水域に接続して貨物の取り扱い、生産活動等の港湾活動が行われる陸域とが一体となってはじめてその機能が十分発揮される。そのため港湾区域を地先水面とする一定の陸域を指定し、港湾管理者の長が一定の規制を行うことによって港湾における諸活動の円滑化を図り、港湾の機能を確保できるようにしたのが臨港地区である。
2) 臨港地区の定義
都市計画法第9条21項
臨港地区は港湾を管理運営する地区を定める地区とする
都市計画法第23条4項
臨港地区に関する都市計画は、港湾法第2条第1項の港湾管理者が申し出た案に基づいて定めるものとする。
港湾法第38条(臨港地区)
港湾管理者は都市計画法第5条の規定により指定された都市計画区域以外の地域について運輸大臣の認可を受けて臨港地区を定めることができる
1 前項の臨港地区は、当該港湾区域を地先水面とする地域において、当該港湾の管理運営に必要な最小限度のものでなければならない。
3) 臨港地区による土地利用規制
港湾管理者は臨港地区において9つの分区を定めることができるとともに条例により分区の目的を著しく阻害する構築物の建設を規制することができる。
なお臨港地区では構築物の用途を基準にその建設を規制するものであり、特定の業種(たとえば港湾運送事業者)の事業エリアを指定しているものではない。
港湾法第39条(分区の指定)
港湾管理者は、臨港地区内において左の各号に掲げる分区を指定することができる
一 商港区……旅客又は一般の貨物を取り扱わせることを目的とした区域
二 特殊物資港区……石炭・鉱石・その他大量のばら積みを通例とする物資を取り扱わせることを目的とする区域
三 工業港区……工場その他工業用施設を設置させることを目的とする区域