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4] 将来方向:

運輸技術審議会自動車部会にて「安全と環境に配慮した今後の自動車交通政策のあり方について」の諮問に対する答申をとりまとめている(平成11年6月)。

 

(2) 海上輸送・船舶における情報化の現況と必要性

現況と必要性につき海上輸送における競争力、安全・環境への寄与という2面からレビューしてみた。

目的に応じて個別に開発・実用化されている技術はあるが情報を統合的に扱う例は殆どない。

(2-1) 競争力のある海上輸送

・輸送のサービス化・効率化が競争力につながる。その為にはタイムスケジュール最適化、消席率増、港内時間短縮、省燃費航海といったことが重要となる。

・海上輸送関連の情報システムの取り組み例を以下に示す。民間で個別に開発されているもので緒についたばかり。

〜WINSインターネット:コンテナーのスケジュールや貨物情報等の提供を行う。

〜FROM(Fleet Remote Monitoring System):船舶の位置・速力・進路の把握、気象現況・予報の把握、到着時間の予測、航海基本計画の自動作成等を行う。

・個別システムの開発はなされつつあるが情報の共有化には未対応である。情報の共有化は1つの船の中での情報、他の船も含めたフリートとしての情報等対象は多岐、広範囲になる。

・最近では情報共有化をもとにサービス化・効率化をはかる船舶運航計画・管理のニーズが増大している。

(2-2) 安全で環境にやさしい海上輸送

・漂流/沈没/衝突/座礁等の予防に関してはIMOや国内の規則で対応基準が整備され海上輸送の管制・監視の為の技術開発や体制整備がはかられつつある。

但し、最近話題となっている海賊船や不審船への対応はこれからの問題である。

・安全面からの取り組み例を示す。

〜電子海図情報表示装置(ECDIS):船上搭載システム。画面に海図情報を表示する。実用レベル。

〜自動船舶識別装置(AIS):半径10海里内航行の船舶情報を捕捉するシステム。IMOで2002年7月発効予定。対応するシステムの開発はこれから。

その他、統合ブリッジシステム(IBS)、全世界的海上遭難安全システム(GMDSS)、等があげられる。

・いずれも目的別に個別に開発されている。

・IMOのISMに見られるように船舶運航管理会社の安全運航責任が明確になってきており、陸監視を主にした船舶運航管理ニーズが増大している。

 

(3) 次世代海上輸送・船舶のインテリジェント化への期待

情報化技術の進歩や社会変化の中で次世代の海上輸送や船舶のインテリジェント化に対する議論や開発着手が既にいくつかなされており、それらについてレビューしてみた。

 

 

 

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