3.5 「情報化技術と船舶」
3.5.1 基本認識
(1) 情報化社会の到来
急速な情報化技術の進歩により、情報化社会の到来とともにそれに相応しい産業経済基盤が構築されいく。進歩の状況と取り組み事例をレビューしてみた。
(1-1) 情報通信技術の急速な進歩
・ここ10年で急速な技術進歩が見られる。
これまでは情報関連技術と通信技術が個別開発であったが、今後は情報通信技術として応用面を主対象に発展していく。
・技術動向と今後の方向性を下表にとりまとめてみた(参考:情報化白書、等)。
併せ情報処理の大容量化・高速化や通信のデジタル化・双方向化・広域化が更に進む。
(1-2) 他分野に見られる情報化への取り組み
・道路/交通/車両インテリジェント化(ITS = Intelligent Transport System 高度道路交通システム)の例をとりあげてみた。開発の推進方法・目的の設定等参考になることも多い。
1] 取組:
1996年に推進協議機構(VERTIS)が組識化された。官・学及び米・欧とも連携とりながら運営されている民間組織で、自動車業界・通信機器業界・サービス業界等が加盟している。立ち上がり時期の加盟は130社弱、3年後の1999年で約450社となった。
2] 開発分野:
先行して開発されていたカーナビ等の技術を更に発展させ高度ナビゲーションシステム・自動料金収受システム・安全運転支援・交通最適管理・道路効率管理・公共交通支援・商用車効率運行・歩行者支援・緊急車両運行支援の9分野をとりあげており、これらを統合して「自動車ITS」と名付けている。開発名称は一般にかなり普及している。
3] 目的・効果:
ITSの目的は「さまざまな道路交通の問題を解決する最先端システムの実現」におき、その効果として安全・環境保全・利便性を対象に下記3点をあげている。
・交通死亡事故半減(30年後)
・燃料消費量及びCO2を15%削減、都市部NOxを30%削減(30年後)
・交通渋滞5分の1(20年後)
一方産業界は20年間で50兆円の市場規模になると期待し2010年には殆ど開発を終え実用化社会を迎えるという姿を描いている。