(3) 省力化ブリッジの開発
少人数で技能レベルが高くない操船運航者でも容易に対応可能で、人為的なミスの少ない設計や、信頼性・保守性に富む主機や機器類の開発が必要である。
(4) ニーズ指向型船舶の開発システムと具体化
ミッションに応じて優秀な船型が選定できるような設計システムや標準的な新世代内航船型を開発し、中小造船所でも顧客ニーズを反映した環境負荷の小さな船を容易に作れるような環境整備が必要である。
(5) カスタマイズした普及版CIM
情報化技術を駆使した建造管理システムCIMやさらに設計や営業活動まで対象範囲を拡げたCALS等の開発と中小造船業の実状に合わせてカスタマイズされ普及される環境条件が重要である。造船業、海運業とも高齢化が進んでいるが、かりに今後も新規性の魅力に乏しい産業にとどまるとしても少子化が進む社会で今後も基盤的な役割を果たし続けるために必須の条件である。
(6) 減速と大型化による省エネ効果
高速船では造波抵抗が船速の増加と共に顕著になり抵抗係数も増大する。造波の影響が小さい時には減速しても抵抗係数はあまり変化しないが抵抗値は速度の2乗に所要馬力は3乗に比例するので省エネ効果は期待できる。たとえば、これらの船舶が平均速度を12ノットから1ノットずつ減じると、航行の所要時間が約10%長くなるが16%の省エネ効果がある。造波が顕著な高速船では30ノット、20ノットから1ノットづつ減速すれば所要時間の増加はそれぞれ3%、5%であり、省エネ効果は13%、14%になる。船速が一定でも船が大型化するとフルード数が抑えられ馬力が節減される。
(7) 内航船のトン数制度の見直し
内航船に定着している199GT、499GT等のトン数制度は内航海運の整備・育成に大きな役割を果たしてきた。しかしながら、或る時点の社会状況・技術水準を前提に人為的に設定された基準はそれをターゲットにした利益追求は合理的な説明が不可能ないびつな結果をもたらすこともある。脆弱な基盤を考慮するとき、規制の撤廃ではなく新しい状況と技術を前提に合理的なあるべき方向へ誘導するための規制の見直しが適当であろう。