日本財団 図書館


3.3.2 技術課題

 

地球温暖化防止策に対応する技術課題を基本認識に示した整理に対応して述べる。ただし、具体的な定量的検討等の詳細は補足説明に譲る。

 

(1) 性能向上等の研究

内航船の性能向上は各構成要素の性能向上と高品質のシステムを実現するための設計・建造のための技術である。それぞれ過去に開発された技術の評価および適用とさらなる向上努力であり、新たなブレークスルーではない。

・中小造船所向けに省エネ船型カスタマイズ化設計および普及版CIM

・舶用エンジン効率向上

・船体抵抗低減およびプロペラ推進効率向上

 

(2) 船型大型化

内航船で船の長さ等の要目が容積トン数と船員数から実質的に規定されていて我が国の海象条件に適合しないのが明らかであるから、トン数制限を見直して大型化がなされるような対策を行うことも重要である。また、設計速度の指標値と実際の運航速度とにも乖離が見られる。計画速力のフルード数では船速の変化が造波抵抗の多寡に影響する領域にあるので、船速や船長の選定は大きく燃料消費を規定するので注意が必要である。

従来は、技術的要素以外により船型が決められていたため一定レベル以上の最適化は無意味であったが、今後、合理的な評価に基づくようになれば、主要目、排水量分布、肋骨形状の選定における最適化も重要になる。

 

(3) 運航対策

・共同配船・配船の最適化

・EDIや船陸間通信の情報活用運航

・減速による省エネ効果

オイルショック以降に各種の省エネルギー対策が実施されたが、減速による効果は極めて大きい。隻数が多く全体の効果が期待できる内航船の船速は12〜14ノットで実際にはさらに高速航行が行われている。フルード数は0.2程度で造波の影響は小さい領域であるので抵抗係数はあまり変化しないと仮定しても抵抗値と所要馬力とはそれぞれ速度の2乗、3乗に比例するので減速により省エネ効果が期待できる。情報技術を活用した運航管理により不必要な高速航行をやめるだけでも大きな効果が期待できる。

また、環境税や炭素税の課税によって燃料費が高くなると減速航行をせざるをえない。

 

(4) 物流ソフトウェア技術

・海運のLCA

・国内総合物流シミュレーションによる地球温暖化ガス排出量の評価手法の開発

・国内総合物流シミュレーションによる物流合理化の検討

・ネットワーク分析によるモーダルシフトの評価

・新海運システムを運用するための情報インフラの確立と整備。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION