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4] 「新型推進システム」

21世紀の新たな海上輸送システム構築においては、舶用機関から排出されるCO2やNOx、SOxの低減化や、船舶の近代化に対応した船内環境の改善、船内労働の軽減が重要なテーマになっており、現在の舶用推進機関の主流であるディーゼル機関とプロペラ推進に代わる新型推進システムへの要求が高まっている。新型推進動力源としては、ガスタービン機関、燃料電池、メタノールエンジン、原子力機関等があり、中でも低燃費対応の新開発ガスタービン機関や、最近の技術開発により高性能・低価格化が著しい燃料電池は再評価に値する。また、この数年大型客船での採用が増加しているポッド型電気推進システムは、船内スペースの有効利用や操船性向上のメリットがあり、更に適用船種によっては機関室配置に囚われない新しい船型の可能性もある。

技術課題としては、これら各新型推進システムの現状技術レベルと将来展望の再評価、新型推進システムの特色が活かせる新船型や新しいタイプの船舶の研究、新型推進システム採用に伴う陸上支援体制等が考えられる。

 

5] 「情報化技術と船舶」

ここ10年で情報通信技術の急速な進歩があり、これまでは情報関連技術と通信技術が個別開発であったものが、今後は情報通信技術として応用面を主対象に発展していくであろう。併せて情報処理の大容量化・高速化や通信のデジタル化・双方向化・広域化が更に進むと思われる。高度道路交通システムITS等の他分野に見られる情報化への取組は、推進方法・目的の設定等参考になることが多い。海上輸送・船舶における情報化では、電子海図表示情報(ECDIS)、自動船舶識別装置(AIS)、統合ブリッジシステム(IBS)、全世界的海上遭難安全システム(GMDSS)、WINSインターネット、FROM等、個別システムの開発はなされつつあるが、情報の共有化や活用法はこれからである。技術課題としては、次世代海上輸送・船舶インテリジェント化(海のITS等)の姿づくり、インテリジェント化を支える技術の開発・カスタマイズ化、世界に通用するインテリジェント化、具体的な商品化・実用化研究、等がある。

 

 

 

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