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第II編 照射済核燃料等運搬船の耐衝突防護

 

1. はじめに

 

平成5年11月開催の第18回IMO総会において照射済核燃料等の国際海上安全規則(INFコード)が採択されたのを受けて、同コードを国内規則に取り入れた海上技術安全局長通達「照射済核燃料等運搬船の取り扱いについて」が平成7年9月に出された。この中で、使用済核燃料、プルトニウム(MOX燃料を含む)または高レベル放射性廃棄物を運搬する船舶の構造および設備について、船舶安全法に定める基準によるほか、「照射済核燃料等運搬船構造及び設備等に関する特別基準」によることと定められた。その後、平成11年にINFコードを強制化するべくSOLAS条約が改正され、平成13年1月から強制化されることになっているが、INFコードを国内法に円滑に取り入れるにあたって、照射済核燃料等運搬船の「耐衝突構造」について基準の見直しをすることになった。

現行の特別基準の中には、INFコードにはない「耐衝突構造」の要件が規定されている。「耐衝突構造」は原子力船の安全基準として国際的に取り上げられているものの、これを照射済核燃料等運搬船にまで適用しているのは我が国だけである。この耐衝突構造の要件は、原子力船「サバンナ号」(1962年竣工)に初めて適用されたものをベースにしている。しかし、この30年間に船舶の建造技術の発展にはめざましいものがあり、また衝突時の船舶の破壊進展について、有限要素法を適用した詳細シミュレーション計算や、簡易解析法の開発が進み、精度の高い安全性評価について見通しが得られるようになってきた。本研究は、これらの事情を背景により合理的に安全性を確保することを目指し、「耐衝突構造」要件について詳細な検討を行うことを目的とした。

はじめに、国外国内における耐衝突防護構造の基準や指針の現況を調査すると共に、現在就航している船舶の状況および衝突事故事例について調査を実施した。また、耐衝突防護構造についてミノルスキー法に準拠している現行基準の検討課題の洗い出しを行った。この結果、「衝突代表船としてT-2タンカーを採用していること」、「被衝突船船側外板の抵抗力および破壊吸収エネルギーが明示されていないこと」、「40〜50年前の事故事例をデータベースとしており、最近の材料や溶接法の開発進展が反映されないおそれがあること」などの問題点が抽出された。

これらの課題について詳細に検討を加えるために、最近の船舶運行状況を考慮し照射済核燃料等運搬船を被衝突船とみなした想定衝突事故シナリオを作成して、最新の解析ツールを適用した損傷解析を実施することを本WG活動の大きな柱とした。

 

 

 

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