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第I編 核燃料物質の海上輸送中火災事故時の安全性

 

1. はじめに

 

我が国の総発電設備容量に占める原子力発電の割合は35%を超えるまでに至っており、それに伴い各種の核燃料物質が海上輸送されている。特に、照射済燃料、高レベル放射性廃棄物やMOX燃料を含むプルトニウムなどは、国際原子力機関(IAEA)の安全輸送規則[1]においてB型核分裂性輸送物に分類され、定められた技術基準を満足する輸送容器に収納された後、国際海事機関(IMO)のINFコード[2]や運輸省海上技術安全局長通達の海査第520号に定められた構造・設備要件[3]を満足する専用運搬船(照射済核燃料等運搬船、INF3船)の船倉内に積載され、輸送されている。これらのB型核分裂性放射性輸送物の技術基準として「輸送物は少なくとも800℃、30分間の火災環境に耐えられること」という耐火要件が課されている。しかし、この要件は、陸上輸送中に遭遇する火災を想定して策定されたものであり、海上火災については火災の持続時間等に疑問を呈する意見が一部海外から出された。そこで、IAEAでは共同研究計画(CRP)を立案し、海上輸送時における火災要件の妥当性の検討を行っている[4]。

(社)日本造船研究協会ではこれらの背景の下に、1996年から照射済核燃料等の輸送物の海上火災時の安全性を評価することを目的として、第46基準研究部会(RR46部会)を設置し、(1)過去に発生した海上火災の事故例と国内外の研究機関等で実施された海上火災関連実験データの収集、(2)海上火災の事故例データに基づく海上火災時の苛酷事故のシナリオ設定、(3)海上火災時の貨物倉内雰囲気温度と輸送物の健全性評価、(4)海上火災発生時の輸送物の確率論的安全性評価に関する研究を実施した。尚、本研究の一部はBNFLの協力を得て実施した。

 

 

 

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