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4.4 甲板水量及び甲板荷重に対する波高及び船速の影響

波高が大きくなるにつれて甲板水量及び甲板荷重は大きくなること(第5章図5.3参照)が明らかになった。また、船速によっても甲板水量及び甲板荷重は変化するが(第5章図5.3参照)、上述のようにそれらの量と船首相対水位の間に強い相関があることから、その傾向は波長(波周期)によっても異なるなど、波高を変化させた場合のように一定の傾向がないことが明らかになった。

 

4.5 船首部の水線上形状が打ち込みに及ぼす影響

今回行った実験では、母船型(Type1)と船首高さを変えた船型(Type2)とフレア形状を変えた船型(Type3)で比較を行った。通常、内航船の船型は構造上の観点やフレアスラミングの制限からその形状を極端に変化しないといわれており、本部会の実験でも極端に船型を変えてはいない。その結果、3状態で船体運動及び相対水位変動にはほとんど差は無く、フレア形状の違いは船首高さの違いほど甲板荷重に及ぼす影響は大きくなかった。結果の一例を図4.5及び図4.6に示す。現実の内航船においては船首部の水線面上形状の差異が海水打ち込みに及ぼす影響は相対的に小さいと考えられる。

 

4.6 船体中央部上甲板への打ち込み水圧

図4.7に示すように船体中央部では甲板上への打ち込み水圧は、波が乾舷を超えた高さにほぼ比例しており、また、船首楼甲板上での水圧波形に見られるような衝撃成分はほとんどなかった。これらのことから、相対水位変動が乾舷高さを越えた高さから船体中央部上甲板に作用する水圧は推定できると考えられる。

 

(文責:船舶技術研究所 小川剛孝)

 

 

 

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