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2.3.2 機関室火災及び貨物倉の火災・爆発事故に関するFSAの試適用

(1)研究の背景

IMO FP小委員会は、1998年を目標年として、SOLAS II−2章の総合的改正作業を開始した。また、この検討を迅速に進めるために、コレスポンデンス・グループが設立され、日本がその幹事国となった(FP39/22)。そこで、日本はSOLAS条件新II−2の構築を検討する目的で、1994年に日本造船研究協会の第7基準部会の中にRR733小委員会を設置し「船舶火災安全評価方法に関する研究」を開始した。RR733では、MSC66でFPに対して新II−2章構築にFSAが適用可能かどうか検討することが要請された事を受けて、1996年からFSA手法の検討を開始した。

一方、1995年から5年計画でRR42「船舶の確率的安全性評価に関する研究」が開始された。RR42では船舶の総合的な安全評価を、可能な限り科学的な方法に基づき恣意性を排除し、信頼性のある結果が得られる船舶の確率論的安全評価システムの確率を目指して研究が開始された。1997年にIMOでFSAの暫定指針が採択され対外的な(対IMOの)対応が急務となり、1998年にはRR733がRR42に吸収される形でFSA関連の研究が一本化された。

2.3.2〜2.3.4で述べる機関室火災及び貨物倉の火災・爆発に関する確率論的安全評価およびFSAの検討は、このような背景の下でRR733及びRR42で実施された研究の一部である。

(2)火災安全評価におけるFSAの枠組み

火災の発生原因あるいは進展形態に着目した大まかな分類としては、船舶の種類と船舶の状態毎の分類が考えられるが、更に、船舶がある同定の用途目的の幾つかの区画から構成されていること及び安全性評価を行なう際の評価対象項目を何に採るかにより、選択される評価方法及び評価モデルは異なるものと考えられる。このような観点から、船舶の火災安全性評価を行なう際の評価マトリックスを示すと図2.3.2.1のようになると考えれらる。

船舶の火災安全性を総合的に評価するためには、図2.3.2.1の各要素について評価を行ない、適当な重み係数あるいは修正係数を導入し、次式により想定される全ての要素についての総和によりリスクを評価することが必要である。

 

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図2.3.1 船舶の火災安全性評価マトリックス

 

 

 

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