日本財団 図書館


表2.2.4.1 衝突エネルギー別衝突件数

015-1.gif

 

衝突船および被衝突船共に100GT以上の場合のみを対象として、10年間の衝突事故(計596件)の衝突船の衝突エネルギー(Ton・Knot2)頻度を被衝突船の大きさ(GT)別に表2.2.4.1に示す。衝突エネルギーの大きさの傾向は被衝突船の大きさにあまり依存しないといえる。表2.2.4.1の事故例を標本として、衝突エネルギーxをワイブル分布で近似した発生確率P(x)を示したのが図2.2.4.5である。衝突による損傷の事故データは事例数が少ないこと、事故時の環境条件が必ずしも明らかではないことから、確率的安全性の検討に活用するのに十分な信頼性を有するとは必ずしも言い難い。そこで、これを補完するために、簡易推定法を用いて損傷程度を推定することが有効となる。評価対象船舶について、衝突船の運動エネルギーについての上述の確率的特性を考慮して事故シナリオを想定し、損傷程度を確率的に推定することができる。ここでは、以下に示すミノルスキー法7)に準拠した簡易推定法を適用した。

A)衝突時に喪失する運動エネルギーの大きさはミノルスキーの式によって表される。

B)衝突時に失った運動エネルギーは、被衝突船の構造の破壊によって吸収される。一般には、衝突船の破壊による寄与も考慮すべきであるが、ここでは簡単のために衝突船の船首部は剛体と仮定し、被衝突船のみが破壊すると仮定する。

C)評価対象船舶(被衝突船)に対する衝突船モデルを決定する。衝突船の大きさは被衝突船と同等の大きさとし、船首形状はv型(T2タンカー)を仮定する。

D)ミノルスキー法を適用して被衝突船の構造破壊に対する抵抗強度を推定する。

E)破壊による吸収エネルギーが喪失運動エネルギーと等しいとして損傷程度を推定する。

この方法を試計算対象船舶について適用した結果を、図2.2.4.6に示す。

 

015-2.gif

図2.2.4.5 衝突エネルギーxの確率分布

 

015-3.gif

図2.2.4.6 波口長さ(1/L)の超過確率分布

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION