
図2.2.4.1 損傷長さの確率密度分布(MEPC4))
(b) 破口の長さ(lSO/L、lSO:破口の長さ)
IMO MEPC4)によれば、損傷全般の損傷長さ(lS)の確率密度分布は図2.2.4.1で示される。
これと比較して、RR715)による破口長さの確率密度を図2.2.4.2に比較して示す。両分布形状は似ているが、破口の場合の方が全体的に長さ(lSO/L)が小さい。それぞれの平均値を比べると破口の場合は、損傷一般の場合の0.19(lSO=0.19lS)であった。以上の検討結果から、破口長さの確率分布は、上式にlS=lSO/0.19を代入することにより推定することができる。

図2.2.4.2 破口傷長さの確率密度分布
(c) 破口の幅(bSO/D)
IMO MEPC2)によれば、損傷全般の損傷幅(bS)の確率密度分布は図2.2.4.3で示される。
これと比較して、RR715)による破口長さの確率密度を図2.2.4.4に比較して示す。これを図2.2.4.3の損傷全般の確率密度分布とくらべてみると、幅ゼロ付近に偏った分布である。これは、亀裂の幅がほぼゼロという破口損傷が全体の約半数と多かったためである。両分布の平均値を比べると、bSO=0.29bSであった。以上の検討結果から、破口長さの確率分布は、上式にbS=bS0/0.29を代入することにより推定することができる。

図2.2.4.3 損傷幅の確率密度分布(MEPC4))

図2.2.4.4 波口幅の確率密度分布
(2)衝突エネルギーの大きさから見た確率的検討
日本近海で発生した衝突事故を対象として、衝突エネルギーの大きさについて検討した。海難審判庁裁決録6)(1985〜1995)掲載の事例を基にして、衝突事故の詳細データベースを作成した。事故確率の母数となる全船舶数については、近似的に日本籍に登録された100GT以上の船舶の数(97,000Y−S(10年間の全船舶 年一隻))とした。
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