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HSC Codeの改正作業に関連して、英国は双胴型高速フェリーを対象にしたFSA関連の報告書(MSC69/14/4、MSC69/INF.14、DE41/5/6、DE41/5/6/Corr.1、DE41/INF.7)を提出した。またスウェーデンは、高速船の運航を対象にしたFSAの試適用報告書を提出した。

これら以外にも、いくつかの報告書(MSC69/14/1(独)、MSC69/14/2(IACS)、MSC69/INF.24(フィンランド))が提出された。

英国は、FSA暫定指針をIMO規則作成で使用するための指針案作成の提案をし、その中でIMOにFSA解析結果評価グループの設立を再度提案した。これに対しては、そのようなグループを設立する場合には、問題対象の当該委員会(MSC,MEPC)あるいは小委員会直属の組織として各国が参加できること、審議の内容は透明性を保つことが必要と言う意見が示され、本件は継続して審議することとした。

英国は、約20年前に起きたバルクキャリア「Derbyshire号」の残骸を西太平洋海底で発見し、大規模な海底写真撮影調査を実施した結果を報告した。バルクキャリアの安全性について、FSAを用いて検討することが示唆された。

 

2.1.8 MEPC42(1998年11月2日〜6日)

MEPC42の直前の11月1日に、IMO主催、英国協賛によりFSAに関するセミナーが開催された。35カ国15国際団体から130人が参加した。FSAの全体構成と概要、及びStep1からStep5のそれぞれについて、オイルタンカーの沿岸域での衝突・座礁を例題として解説された。FSAに対する各国の関心の高さが確認された。

 

2.1.9 MSC70(1998年12月7日〜11日)

非RO−RO旅客船のHLAに関するFSA解析結果の評価、当該船舶にはHLAは不要との結論が導き出された。本要件に関するSOLAS条約改正III章24-3規則はすでに採択が済んで発効しており、その実施期日(1999年7月1日)を待つ状態となっている。我が国は、RO−RO客船の安全性に関する検討がエキスパート・パネルという非公開のグループによって拙速に進められて非RO−RO旅客船へのHLA強制化という結論が出され、MSCが十分審議をせずにSOLAS改正の結論を急いだため、このような結果となったことを指摘し、今後はこのような事が起こらないように、条約改正は慎重に進めるべきと指摘し、多くの賛同を得た。

日本提出のFSA関連文書(MSC70/14/1(7)及びMSC70/INF.7(8))を検討し、リスクの抽出にはできるだけ科学的な方法を使用して、専門家による判断を極力避けるべきという意見に注目した。

Derbyshire号事故報告を契機として議論されたバルクキャリアの安全性に関しては、FSAによる検討が必要という議論がなされた。英国がバルクキャリアの安全性をFSAを使って検討するように提案し、英国を中心として各国が協力する形でボランティア・プロジェクトを立ち上げて、英国提案に沿ってFSA作業を進めることが合意された。我が国は、本件の重大性及びHLAに関する検討における閉鎖性の弊害を鑑みて、我が国はバルクキャリアに関するFSAを独自に進めることを表明し、また、英国主導のFSAチームとは常時連絡を取り合うことを提案し、了承された。

 

2.1.10 MSC71(1999年5月19日〜28日)

英国は会議期間中の昼休みを利用して、「Interested Entities」、「Cost per Unit Risk Reduction」及び「Regulatory Impact Diagram(RID)」について発表を行った。

IMOの規則作成過程におけるFSAの使用方法について、総会決議A.500及びA.777、並びに人的要因に関する指針(HEAP)とともにFSAをどのように利用していくか議論し、IMOの規則作成要領案を提案した(MSC/71/WP.15/ADd.1/ANNEX5(9))

 

 

 

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