日本財団 図書館


この提案の中で、インドネシアは、(i)群島航路帯の指定が、それ以外の群島水域内における無害通航権の行使(国連海洋法条約第52条(1))に影響を及ぼさないこと、(ii)インドネシア水域を通過する外国のタンカー、原子力推進船、核物質その他の危険物質を運搬する外国船舶、外国漁船及び外国軍艦は、国連海洋法条約その他の国際法の規則にしたがって、この航路帯を通過するように勧告される旨を明らかにしていた。

 

(3) このインドネシア提案は、1997年7月の同委員会航行小委員会(NAV 43)で審議された(46)。米国は、インドネシア提案の南北3ルート以外に、国際航行に使用される東西に通過するルート及び南北3ルートに付随する小ルートが存在すること、それゆえ本提案は部分的指定提案と見るべきであると主張し(NAV 43/3/10)、オーストラリアも, 米国提案に同調して東西ルート及び小ルートがオーストラリアへの海運が利用することを指摘し、国連海洋法条約第53条(9)にいう群島国の同意は、群島航路帯の数及び位置について利用国が提出する情報を根拠とすべきであると主張した(NAV 43/3/14)。その結果、航行小委員会は、1]インドネシアの南北3ルートの提案は、群島航路帯の部分的指定であること、2]インドネシアは、通常、国際航行に使用される航路において群島航路帯通行権を認め、その他の海域において無害通航権を認めること等を確認した(NAV 43/15)。

 

(4) これを受けた1998年5月の IMO の海上安全委員会(MSC 69)で、インドネシアは、航行小委員会の決定を全面的に受け入れることを表明し(MSC 69/5/2)、群島航路帯を指定するための国内法の整備を進めていると言われる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION