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そして領海基線とカンボジア海岸線とに挟まれた水域を内水であるとしている(デクレ第2条及びannex I)(17)。この直線基線の、ベトナム側の基点が point 0であり、これは、カンボジアの歴史的水域の南西限界の海上の点、すなわちベトナムとカンボジアが上記協定で定めた両国にまたがる直線基線上の海上の地点とし、タイ側の基点は、1907年3月23日のFranco-Siamese treatyに基づくタイ・カンボジア間の陸上国境地点と定めている。このカンボジアの歴史的水域の主張に対しては、米国、タイ、シンガポール及びドイツが抗議している(18)

 

(5) タイ(図6)タイ主張の領海基線

タイは、1959年9月22日、「タイ湾内深部に関する首相府宣言」を発し、タイランド湾(別名シャム湾)北部、内深部にある湾(いわゆる、バンコク湾)の湾口線を基線と宣言した。基線内側の水域は、歴史的水域であり、タイの内水部分を構成するという趣旨である(19)。1966年10月6日、「領海幅員の設定宣言」により、タイの領海幅員は、領海基線から12カイリとする旨の宣言を行った(20)。また、1970年6月12日に、首相府声明を発し、タイランド湾側に二ケ所、アンダマン海側に一ケ所の直線基線を設定した(21)。さらに、その後、タイは1992年8月17日に、さらに首相府声明を発しタイランド湾に第4区域を設定する直線基線を発表した(22)。第4区域の直線基線は、1970年の直線基線のように多くの島の外周に設定されたものではなく、沖合いの島を結ぶ形をとっている。これに対しては、EUを代表してドイツが抗議している(23)

 

(6) マレーシア

マレーシアは、緊急規則(Emergency(Essential Powers)Ordinance, No.7, 1969)を発しており、その中で、領海に関する規則を定めている(24)。マレーシアの領水(領海)は12カイリとし、その幅員は、マラッカ海峡、スールー海(Sulu Sea)、セレべス海(Celebes Sea)を除き、1958年領海・接続水域条約第3条、第4条、第6条〜第13条の条項に従って測定される(同規則3(1))。

 

 

 

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