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山本教授の趣旨は、「沿岸国の関税その他の財政権益は租税法定主義の原則からしても、通常は関係国内法令でその要件が定められるから、無害性の認定と法令遵守の要件は重なり合い、したがって接合説の妥当する場合が多い、といえよう」が、「沿岸国の安全と公序については、一般条項的なものを除けば、必ずしもその要件が具体的に細かく定められているとは限らず、したがってその場合には、分離説に基づいて通航の有害性の有無が認定され」ざるを得ないということである。山本、前掲論文(注(6))、78頁参照。

32 Whiteman, op. cit., pp. 374-375.林、同上、59頁。

33 Idid., pp. 375-378.

34 林、前掲書、59頁。

35 仮に当該船舶が領海外にあるときは、領海内に立ち入らせないという対応もありうるであろう。しかし、領海外にある船舶に対しては無害かどうかの確認ができないのだから、領海内への立ち入りの意図が明らかに第18条でいう通常の通過以上の意図・目的をもっているのであり通航の要件を満たさないという法構成をとるとしたら、当該船舶の通航の意図・目的をどのような方法で判定するかという困難な課題を背負うことになるのも事実である。田中、前掲論文、44頁、安冨、前掲論文、26頁。

36 安冨、同上、28頁。

37 田中、前掲論文、48頁。

38 国司彰男「外国船舶に対する船舶安全法並びに海上保安庁法の適用について」(『新海洋法制と国内法の対応第4号』(日本海洋協会、平成元年)所収)、145頁。海上保安庁が所掌する「海上保安業務」を含み、海上における法秩序を維持するための「海上取締権」、「海上警備権」、「海上犯罪捜査権」、海上災害から人命及び財産を救助するための「海難救助権」等の総合的概念としての海上警察権については、飯田忠雄『海上警察権論』(成山堂、昭和36年)、39頁以下参照。

39 国司、同上、145頁。

 

 

 

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