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12 『海上保安新聞』平成11年6月10日(2)面。

13 「不審船」あるいは「不審船舶」とは法律上の用語ではなく、村上教授の定義に従えば、「行動不審船舶、つまり航行目的や活動実態が明らかでない船舶を指す」とされ、「多くの場合、国籍不明船舶であって、沿岸国にとって許容できない活動を行っている可能性の高い船舶の意味で用いられる。その活動の一つとして、沿岸国に対する情報・工作活動が考えられる」とされる。村上、前掲論文(「領海警備」)、45頁。本稿では、「不審船」の用語をこの村上教授の定義に倣って用いたい。なお、能登半島沖の事件後の平成11年6月4日の関係閣僚会議によってまとめられた政府の不審船対応策の中では、不審船の定義として、「工作船と考えられるような武装の可能性のある船舶」という表現が用いられている。海上保安新聞平成11年6月10日(2)面。

14 山本、前掲論文、72頁。山本教授によれば、第4項が通航自体の有害性の有無を基準とする規定に改めた結果、通航の無害性の認定については、事項によりそれぞれ分離説と接合説が適用される余地を残したとされる。同上、80頁。

15 林教授は、この(1)号は all-catch 条項でその内容が限定されておらず、拡張解釈すればあらゆる法令違反はこれに含まれることになるので、他の(a)〜(k)号と同様に、外部から認知可能な沿岸国法益の侵害にあたるものとみなければならないとされる。林久茂「海洋法研究」(日本評論社、1995年)、45頁。

16 山本、前掲論文、72頁。英国では、密輸を防止するための「ホバリング・アクト」の起源は1719年に遡るとされる。G. Marston,“Hovering Acts", in Berhardt (ed.), Encyclopedia of Public International Law, Instalment 11(1989), p. 148. こうした英米のホバリング・アクトの分析については、村上、前掲論文(「領海警備」)、56-58頁参照。

 

 

 

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