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そして、同条文草案に付された意見(observations)では、「本条は、沿岸国に、必要ならば船舶の航行の無害性を検認(verify)し、自らの安全、公序又は財政上の利益を害するような行為から、沿岸国を保護するためにすべての必要な措置をとる権利を付与するものである」と説明されていた(32)

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つまり、沿岸国は通航が無害であるかどうかを確認する権利をもつし、仮に無害でないと認めた場合は、例えば、当該船舶を領海外に退去させる措置をとることができるのである(35)。さらに、そうした退去強制に止まらず、当該船舶を沿岸国の刑事手続にのせて処罰することも可能であるが、その場合には、無害通航にあたらない各種の類型があらかじめ国内法違反の行為、特に刑罰規定の対象となる行為として実体法上規定されていなくてはならない(36)。それなくして、被疑船舶の拿捕や被疑者の逮捕などの執行措置はとれないことになる。田中教授によれば、こうした場合の「執行手続としては、1]国籍の確認に始まり、2]無害通航かあるいは有害通航もしくは通航にあたらないものかの確認、3]その有害通航が国内法令とくに刑罰法規に違反しないかの確認、4]刑罰法規に違反する場合の捜査や逮捕といった刑事手続の遂行が考えられる」とされ、「現行法では海上保安庁法の第17条と第18条とに委ねられている(37)」とされる。そこで、次にこの問題に関する海上保安庁法の体制について検討してみよう。

 

 

 

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