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こんな情勢のもと、先ずはこれまで大統領と連立政権を組み、国務総理として活躍してきた金鍾泌(キム・ジヨンピル)氏が、自らが所属する「自由民主連合」の選挙準備のために、総理を辞任した。これによって、金泳三前大統領の時代に大統領選挙へ出馬意欲を見せたことから反感を買い、不正疑惑を取りだたされ一時的に失脚をしいられた朴泰俊(パク・テジユン)自民連総裁が第32代国務総理に就任した。朴新総理は、朴正煕(パク・チヨンヒ)時代からの韓国経済界の重鎮であり、これまで日韓議員連盟韓国側会長を努める等、親日派としても知られ、今回の就任は、我が国にとっては大変明るい材料であると判断できる。

また、大統領自身が所属する「国民会議」を発展的に解消させ、新党「新千年民主党」を結成して、総選挙に望むこととなった。

いずれにせよ、現在最も議員数が多い、野党ハンナラ党を含め、一党が大きく勝利することは難しく、当面の関心は、選挙後に新たに各党がどのように組んでいくかということではないだろうか。

我が国にとって現在の良好な両国関係に影響する大きな懸念材料は現在見あたらないが、選挙後、大統領自らが進める努力をしていながら、今一つ片思いの状態が続いている北との関係に関し、「対話による平和的な解決」を目指した俗に言う「太陽政策」や、選挙公約としながらも延期となっている改憲(「大統領制」から「内閣責任制」への移行等)問題等、残された大きな問題もあり、近隣国として関心を持ちながら、経緯を見守っていくことが必要である。

国として現在における最大事項が総選挙の行方であるならば、当庁の関心事項としては、これまでも庁内挙げて対処してきた漁業問題が挙げられる。

昨年1月22日、難航した末に発効した漁業協定に関し、今年の相手国での操業クォーターは、御用納めの12月28日にソウルで開催された「第2回日韓漁業共同委員会」においてやっとのことで合意され、協定締結時交わした日本側書簡の内容である「1999年から3年で、等量にする。」旨の解釈でもめたものの、最終的にはこれに準じた形となった。

これは解釈の仕方であり、毎年行われる「漁業共同委員会」において、昨年と同じような問題が起こらないよう望まれるが、いずれにせよ、3年目には韓国漁船の操業クォーターが現在の日本漁船と同じ水準まで削減される事実は変わらない。

 

 

 

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