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また、現在海洋警察庁の本庁が所在する仁川市にある埋め立て地には、金浦空港に変わる国際空港が建設され、今年秋にも開港予定となっており、今後所属航空機の勢力増大等により、同庁の組織も更に拡大されることが予想される。

 

4. 最近の国内情勢等について

現在、韓国国内において、常に新聞報道等でも一面記事となっていることと言えば、来る4月13日(木)に予定されている「総選挙」であろう。

国内も金 大中大統領就任時は、これまでで最大の危機であったIMF体制におかれた経済大不況であったため、国民も一枚岩となり、連立与党を組む等して経済回復に努めてきたが、最近においては我が国との間を運航する旅客船の利用者が大幅に増加する等、既に時の危機を脱し、今後は新空港の開港やワールドカップの開催等、明るい話題に後押しされながら、回復し歩んでいくことと思われる。

しかし、国内においては現政権におけるこれらの功績を評価する一方で、危機感の消滅やいわゆる「高官夫人ワイロ疑惑事件」等マイナスとなる大きな事件もあったことにより現政権に対する支持率が低下しており、政権与党の過半数割れは逃れられない状況となっている。

また、最近の情勢として、現政権になってから、大統領の出身である全羅道の人間が政権人事で偏重されており、地域感情に揺れている。

これまで韓国社会においては、慶尚道(キヨンサンド)出身者主導となっていた。というのも、現在でも韓国では「風水思想」が浸透しており、千年以上も前に残された「訓要十条」という風水説による有名な書物の内容から、現在まで長期にわたり全羅道が地域差別を受けていたからである。

従って、同地域の人々にとっては、出身者である金 大統領の登用は、まさに希望の星だったに違いない。

その一方で、これまで恩恵を預かってきた慶尚道の人々を中心に当然、金大中大統領に対して「やりすぎだ。」と言う声が挙がっており、一見よくある権力争いのようにも見えるが、韓国国民にとってこの騒動が非常に大きな出来事であり、今後の情勢を占う上で最も重要なことと言っても過言ではない。

今回の総選挙においても、現在不満に思っている慶尚道の出方が、結果を左右する大きな材料であると思料される。

 

 

 

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