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一時は、我が国との漁業協定発効に関する国内漁民の不信感等から、相当な反発も受けたが、我が国同様に海とは切っても切れない関係にある韓国にあって、唯一海の行政機関として、今後一層組織が拡大される可能性があるのではないだろうか。

(2) 海洋警察庁(Korea National Maritime Police Agency)

同庁は、現在海洋水産部の外庁であるが、まずは同庁の設置について少し説明したい。

現在の前身となる組織は、1953年(昭和28年)に、当時の大統領である李承晩(イ・スン・マン)が宣言したいわゆるリ・ショウバンラインを侵犯する外国漁船の取締及び漁業資源の保護を目的に、海軍から警備艇を受領し、内務部治安局の傘下に、釜山を始め7カ所を基地隊とする「海洋警察隊」として創設された。

その後、「海洋警備隊」、「海洋警察隊」の名称変更等を経て、1990年(平成2年)12月27日に現在の本庁を「海洋警察庁」、地方隊を「海洋警察署」に変更した。

そして、「海洋水産部」の新設に伴い、同部の外庁という現在の形になった。

また、昨年5月には、「次長」職が新設された。

次に、職員についてであるが、同庁職員は業務を行う上で「警察官職務執行法」を根拠としており、「刑事訴訟法」により「一般司法警察官吏」と位置づけられ、「警察庁」の職員と全く同様な権限を有している。よって、職員の任官の際も「警察学校」にて、数カ月の研修を行った後、着任することとなっており、現在も同庁庁長を始め一部幹部職員は、警察大学校出身者が着任している。

続いては、同庁の勢力であるが、職員数は約7,000名で、うちほぼ半数が「警察公務員」で、その他に「戦闘警察巡警」と呼ばれる兵役義務の者や「一般職公務員」、「機能職公務員」が勤務している。

現在船艇は、3,000トン級のヘリ甲板設置型警備救難艦2隻をはじめ、総計232隻所属しており、内23隻は油防除活動等に従事する特殊業務船舶である。

航空機は、回転翼機9機を保有しており、今後固定翼機の導入も予定されている。

以前から、海洋警察庁と当庁は多くの交流があったが、昨年の「第1回日韓海上保安当局間長官級協議」の開催を契機に、更なる協力関係が構築され、交流が増えることも間違いないと思料される。

 

 

 

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