その懸案事項の中には、日中関係の悪化を引き起こす可能性があり、また当庁業務とも密接に関連する「海洋調査船」問題も含まれる。
(1) 中国海洋調査船の動静
イ 我が国排他的経済水域における確認隻数
平成8年には15隻、9年には4隻、10年には16隻、11年には30隻を海上保安庁では確認した。この中には当庁巡視船や航空機が発見したもの以外に、海上自衛隊の哨戒機が発見し、当庁に通報してきたものも多数ある。
ロ 領海内侵入の確認状況
平成8年には2隻、9年には1隻、10年には2隻、11年には3隻を確認した。
(2) 海洋調査活動の状況
イ 調査海域
平成11年には30隻もの中国海洋調査船が、東シナ海の我が国排他的経済水域において不審な行動をとっているが、これは東シナ海の日中中間線に極めて近い中国側排他的経済水域内で、近年油田の発掘に成功したことから、さらに多くの油田発掘に力を注いでいるためと推定される。
ロ 日中両国の主張
周知のとおり東シナ海では日中両国の間では排他的経済水域の境界が画定されていない。日本側は日本の排他的経済水域を、日中の地理的中間線を用いて国内法に定めているが、中国側は日本の主張を認めておらず、日中間の排他的経済水域の境界画定に当たっては、陸地の面積、海岸線の長さ、人口を考慮した「衡平の原則」を用いるべきであると主張していて、この原則に基づいて日本との間で境界画定を実施したい、としている。
境界画定交渉は、外務省が主体となり「海洋法に関する日中協議」を、関係省庁の参加を得て実施し、境界画定に向け精力的に議論を交わしているところであるが、中国側は先ほどの原則論を述べるにとどまり、中国側が考える境界線については明らかにしていない。
ハ 海洋調査船の行動とその主張