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中国カウンタパート機関の紹介及び中国海洋調査船について

 

総務部国際課国際協力係

古郡伸一

 

今回、海上保安関連機関の組織や活動、それを取り巻く社会情勢、その他業務の参考となりうる専門的な内容について発表するということで、ここでは中国関連の諸問題について少々述べたいと思います。

私は現在北京にて、新しい日中漁業協定の発効に向けた閣僚級協議にオブザーバーとして参加しているところです。北京市内のホテルにてこの原稿を書いているところですが、幸運にも、新しい日中漁業協定の発効に関し、最大の問題点であった「暫定措置水域以北水域における操業条件」が解決、日本周辺水域での中国漁船の操業を日本の管理下に置くことにより、日中間の新しい水産資源管理体制の基盤が確立した、といえる瞬間に立ち会うことができました。

その場では、我が国と中国は東海(いわゆる東シナ海)を挟んで「一衣帯水」の間柄にあり、緊密な関係があると感じたところですが、一方、交渉に立ち会っている最中には、相手のものの見方、考え方が全く異なっているために交渉が中断するなど、互いに相手を理解しているといえるほど中国人民との関係は深くないなと感じ、相手の考え方を理解しておくことが大事である、とも感じました。

やはり相手をよく知ろうとするならば、懐に飛び込まねばなりません。両機関トップ等幹部が訪問しあい、相互交流の流れを定着させ、その後実務者が相手機関に飛び込み理解を深める、こういうプロセスが必要だと思います。相手の活動や心理は、その相手と接しなければわからないと思います。

今回は、まずは海上保安庁の中国側カウンタパートともいえる「交通部海事局」と「公安部辺防局」の組織や役割などから理解していただこうと、今まで先人が残してきた資料を積極的に利用し、内容を整理して紹介しております。しかし中国側カウンタパート機関の実際の活動状況については目の当たりにしていないため、記述することができません。従って上記機関の実際の活動状況について興味のある方にとっては、今回の中身を物足りなく感じるかもしれませんが、それは今後の両機関の交流次第で徐々に見えてくると思います。

 

 

 

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