当庁とロシア国境警備庁との間では、平成6年以降、「日ロ海上警備当局間協議」が開催されており、これまでに1]薬物銃器の不正取引に関する情報交換窓口の設定(本庁レベル及び地方レベル(一、八及び九管区本部とウラジオストクの太平洋地域局司令部))、2]不審船に関する意見交換が実施されている。また、根室や稚内といったロシアと領海等を接する保安部においては、ロシア国境警備庁の現地部隊との間で洋上会合が実施されている。また、現在、海上保安庁とロシア国境警備庁との間で、協力に関する文書(覚書)の作成について検討を行っているところである。
【参考:バルト海沿岸諸国10ヵ国による協定の概要】
1] 各国において、ある一機関がそれぞれの国内で海上保安に関する情報を有する機関(港湾監督局、税関等)から情報をとりまとめ、こうした情報の集約・調整を行うセンターを設置・運用する(ロシアでは国境警備庁がとりまとめ機関となり、サンクト・ペテルプルグにセンターを設置している。なお、フィンランドでは国境警備庁、スウェーデンでは沿岸警備隊、ノルウェーでは海軍、ドイツでは内務省がとりまとめを実施している)。
2] 10カ国のそれぞれのセンターが1年輪番制で、各国からの情報の集約・整理し、その情報を各国に返送付する。各国では、この返送された情報を利用し、密輸、密入国の容疑船の取締りに利用する。
3] 必要に応じて他国の機関に容疑船の立入検査を要請することも可。
4] 専門家による経験交換及び相互訪問を実施
7 おわりに
最近のロシア国境警備庁に関する当庁での主な懸案事項を挙げておくとすれば、まず平成11年4月の韓国海洋警察庁との「協力に関する文書」に引き続き、「海上保安庁とロシア国境警備庁との間の協力に関する文書」の作成の検討が挙げられる。また、ロシア関係当局等からは、当庁との協力関係の発展・強化について強い要請がきている。