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この他、上級幹部の養成のため「国境警備大学校」が設置されている他、技術将校、医療担当将校及び航空要員の要請のため6つの軍事大学が設置されており、いわゆる「幼年学校」も存在する。

国境警備庁職員の定年は一般的に早く、佐官クラスが40代から50代で定年を迎える。

また、国境警備庁には文民の職員も勤務している。

 

5 当庁との比較

警備救難業務については、1]航行安全業務は所掌していない、2]救難業務については、RCCによる調整の結果、一救助勢力として参加するにとどまる(この場合、一般商船が海難救助を実施する場合と同様で、人命救助については無償であるが、船体や積荷の救助を実施した場合には有償である。3]流出油防除については国境警備庁の権限外である(今後、大規模油流出災害発生した場合に、国境警備庁の艦艇等が回収作業などに参加する可能性は不明)、4]海上環境事犯については、国境警備庁は油の違法排出等を行った船舶を拿捕する権限を有している(その後、さらなる調査のために国家環境管理機関に引き渡すことになる)、5]国境警備庁の内部に検察の権限を部分的に有する組織がある、といったような相違点が挙げられる。

また、国境警備庁は灯台業務及び水路業務を所掌していないが、装備技術・経理補給関連の業務については、海上保安庁と同様の機能を果たす組織を有している(ロシアにおいて灯台業務や水路業務を所掌する機関については、また別の機会に述べることとしたい)。

 

6 国際的協力

ロシア国境警備庁は国境線の管理や国境地帯における犯罪の防止のため、多数の国と協力しており、そのうちの20カ国以上とは国境線の管理についての国際条約を締結している。これらの協力関係の例としては、ロシアに麻薬を供給するパイプラインと化している中央アジア諸国との協力の他、バルト海沿岸諸国10ヵ国が1997年に締結した、海上における違法行為の取締りを目的とした協定に基づく協力があげられる(内容は後述)。

この他、ロシア国境警備庁は、1995年に米国沿岸警備隊との間で、公海上における麻薬の不正取引防止のための協力等をその内容とする覚書(MOU:Memorandum of Understanding)を作成している。また、1998年9月には韓国海洋警察庁との間でも、海上犯罪の取締りのための支援・協力をその内容とした協力に関する協定が結ばれている。

 

 

 

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