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第3 あとがき

 

○ドイツという国を理解するためには、次の3つの要素を押さえておく必要がある。

第1は、連邦制についてである。

ベルリン及びハンブルグという2つの特別州を含む16の州があり、基本的には州が優越していること。

第2は、東西統一である。

1945年、第二次世界大戦で無条件降伏し、東西に分裂。1989年、ベルリンの壁崩壊。

1990年10月3日、西独が東独を編入する形で東西ドイツの統一が実現した。

第3は、首都移転。

統一条約で首都はベルリンと決定。1998年から2000年までの間に首相府、外務省、交通・建設・住宅省等11省庁が首都ベルリンへ移転し、他はボンに残留する。この時期に併せるように省庁再編があった。

これらと合わせ考えると、この度の訪問機関の選定に当たっては、在ドイツ連邦共和国日本大使館蝦名一等書記官のアドバイスもあり、

・連邦中央機関であり、所掌する業務に調査項目が最も多く該当する「連邦交通・建設・住宅省」(ボン)、

そして、ハンブルグ州において、

・中央機関の外局である「連邦海運水路庁」及び

・州の機関であり水上警察業務を担当する「ハンブルグ州水上警察」

としたのは、誠に当を得たものであったとホッとしたところである。

訪問機関を選定する作業段階で、バルト海側のノイシュタットにある法務省所管の「国境警備隊本部」及びブレーメンにあるドイツ海難救助協会の「海難救助センター(MRCC)」も訪問対象として検討したところであるが、日程的に無理であり、残念ながら実現しなかった。

これら業務の所管については、連邦交通・建設・住宅省の担当官も話していたが、ドイツでは、連邦制であるため、新しい独自の組織を作るのではなく、従来からの組織を維持しつつ、かつ、様々な協力をしながら任務を遂行し、効果を上げようということのようである。

これらを総合して、「ドイツ人は、考えた後で歩き出す」という、かって読んだ本の一節を思い出し、何となくわかるような気がしているところである。

 

○旅行第1日目の、アムステルダム空港でのボン・ケルン空港向けのトランジットは約3時間もあり、少々長すぎるかなと思っていたところ、更に約1時間近く早く到着した。

どう過ごそうかと考えながらゲートを出たところで声を掛けられビックリ。海上保安庁から出向中の在オランダ日本大使館羽山二等書記官であった。海上保安庁からの参考情報が届き、懐かしく、話に来てくれた由で、歓談した。

 

 

 

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