・ハンブルグ水上警察の管轄範囲は、ハンブルグ州内のみでなく、他の2州(シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州及びニーダー・ザクセン州)に属するエルベ川流域約70kmに及ぶ。
・ハンブルグ水上警察が、何故周囲の州まで出て行くのか?
歴史的に2つの理由がある。
1]14世紀、エルベ川河口に海賊が出没し、ハンブルグ港出入港の商船を襲ったので、ハンブルグでは護衛船をつくり、海賊を退治した。
また、クックスハーフェン(北海にあるエルベ川河口港)に土地を買い、防御砦をつくる等、ハンブルグからクックスハーフェンの間の河川流域の安全・秩序を守ることに努力した。
1618年から1648年までの間、30年戦争が起こった。
スエーデン、デンマークが海上に関をつくり、通行税を取るようになったので、ドイツ皇帝カイザーのところで裁判をし、これに100年かかったが、結果、自由に航行できるようになり、港が栄えた。
以上がハンブルグから北海に向かう水域の話。
2]上流側は、別の話がある。
1933年、ナチが台頭してき、1937年独裁政権が出来た。
それまでは約150のさまざまな形態に分かれていたのであるが、警察も吸収されて帝国警察ができた。
ハンブルグからクックスハーフェンまでの間はハンブルグの警察の担当となったが、上流側のハンブルグからマクデブルグまでは別の担当と分けられた。
1945年、ロシアと米軍がエルベ川沿いのトワガウまで進駐、政治的葛藤があり、東西ドイツに分割された。指揮部を無くしてしまった国境沿いの警察がハンブルグ(英国が支配中)に密書を送ってき、英国の指令によりハンブルグの管轄となった。
1945年ドイツ連邦共和国ができた。この時問題となったのは、警察の州管轄である。これでいくとエルベ川の上流と下流がハンブルグを境に分断されることとなるため、ハンブルグと連邦とが協定を結び、ハンブルグ水上警察は、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州及びニーダー・ザクセン州に属する従来のエルベ川流域をも管轄するという議事録をつけた。
両州は、自分で水上警察を維持する経費の代りに、ハンブルグ水上警察のボートの燃料費相当程度の経費を負担している。
ロ 現状
(イ) 水上警察の構成
ハンブルグ水上警察は、「ハンブルグ州内務庁」の一部局である「公安」に属し、その構成は次図のとおりである。