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十年、十五年が経ち、浄化施設の稼動、ヘドロの浚渫等で、徐々に当時ほどの目に見える黒ずんだ悪水や悪臭は減ってきましたが、最近もっと深刻に思うことがあります。

それは、瀬戸内海全体が、ここ数年の間に数々の要素で急激に環境が変化してきていることです。(中略)その海面の水の色や透明度はおろか、水質、潮流、海底の形状、海岸、磯に至るまでその環境は変化し、瀬戸内海に棲むすべての生物の生態にまで影響を及ぼしてきつつある今日です。これは、すべて私たち人間による行為であり、このままほおっておけば近い将来取り返しのつかないとんでもない事態に陥ることが予測されます。(中略)

また、島々の岸辺が白く見えていることも、風化しない発泡スチロールなどのゴミが瀬戸内海の定期的な潮流に乗って行き来し、外洋に出ることもなく大量に島々の浜辺に漂着したもので、流れ着くゴミの多さと、水槽の水を入れ替えるように簡単に瀬戸内海の海水ときれいな外洋の海水とが入れ替われないことが証明できます。

「人類が汚してきた海を人類の手で元に戻す責任があるのではないでしょうか。」

一人ひとりが身近な水辺や海に目を背けず、日々の暮らしの中できれいな水辺の環境作りに関心を持つことから始めることが大切であると思います。

是非、来る二十一世紀には、美しい自然の中で水辺や海に安らぎを求められる潤いある素晴らしい生活を目指そうではありませんか!

真のウォーターフロントの再開発、これは水辺や海に対する心(意識)の改革から始まることである、と願ってやみません。

(神戸地区会誌「海洋環境保全推進員だより 第13号」より抜粋)

 

【こんな活動もやってます!「無人島の緑を取りもどそう」】―福山地区推進員―

7月20日「海の日」に、瀬戸内海『宇治島クラブ』は「無人島の自然と生活を守る」をスローガンに福山市沖合いの無人島である「宇治島」の砂浜清掃を行っており、今回で16回になります。

今回は「宇治島サニーアイランド無人島物語」と銘打って参加者を募ったところ、約300人(大人100人、子供200人)に及ぶ参加の申し出があり、同日参加者は福山港からチャーターされたフェリーに乗船し、宇治島に向かいました。

福山港から約1時間で島に到着し、「砂浜のクリーン作戦」「ひしゃく祭り」「自由行動」のスケジュールに基づいて、まず砂浜の清掃からとりかかりました。

無人島であるにもかかわらず、砂浜には多くのゴミが点在しており、これらのゴミはいずれも漂着したものであり、参加者全員で回収したゴミの量は10トン積みトラックに約2台分もありました。スケジュールに基づき、参加者は思い思いに有意義な一日を過ごしたことと思います。

(広島地区会誌「モニターネットワーク 第35号」より抜粋)

 

 

 

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